33話 待望
お互いに仕事が忙しく、あいつと顔を合わせないまま半年が過ぎてしまった。なるべく隙を見ては会うようにしていたのだが、なにぶん夏は誘惑の季節であり、俺のご主人サマは休みなどくれない。天使は天使で、そんな悪魔の誘惑から人々を守護するために奔走していた筈だ。
だからなのか、久々に会った愛しい天使は、なんだか積極的だった。
「久しぶりだな、ラブ。会いたかった」
玄関先で出迎えてくれた天使は、そのまま俺に抱きついた。危うく意識が飛びかけたが、どうにか気を取り直し、その華奢な身体を抱きしめる。
「俺もだよ、エンジェル」
懐かしい、清浄な香りが肺に届く。幸福が、頭を痺れさせる。
くらくらしていると、腕の中で天使が身じろぎした。強く抱きしめ過ぎたか、と力を緩めたとき、俯いた口元から、小さな声が聞こえた。
「な、なあ……その、……き……を」
「き?」
「き、……キス、を……」
ハグだけでなく、キスまでねだってくれるとは思わなかった。これなら半年会わないというのもアリかもな、と思いながら、天使の赤みを帯びた耳を眺める。
「ああ、良いぜ。とびっきりのを……」
言いかけたとき、天使が顔を上げた。
恥じらいなのか喜びなのか、可憐に染まった美しい頬と長い睫毛、そしてその唇がほんの少し上向いて俺を待っているのを目にして、……そこで無事に意識が飛んだ。
だからなのか、久々に会った愛しい天使は、なんだか積極的だった。
「久しぶりだな、ラブ。会いたかった」
玄関先で出迎えてくれた天使は、そのまま俺に抱きついた。危うく意識が飛びかけたが、どうにか気を取り直し、その華奢な身体を抱きしめる。
「俺もだよ、エンジェル」
懐かしい、清浄な香りが肺に届く。幸福が、頭を痺れさせる。
くらくらしていると、腕の中で天使が身じろぎした。強く抱きしめ過ぎたか、と力を緩めたとき、俯いた口元から、小さな声が聞こえた。
「な、なあ……その、……き……を」
「き?」
「き、……キス、を……」
ハグだけでなく、キスまでねだってくれるとは思わなかった。これなら半年会わないというのもアリかもな、と思いながら、天使の赤みを帯びた耳を眺める。
「ああ、良いぜ。とびっきりのを……」
言いかけたとき、天使が顔を上げた。
恥じらいなのか喜びなのか、可憐に染まった美しい頬と長い睫毛、そしてその唇がほんの少し上向いて俺を待っているのを目にして、……そこで無事に意識が飛んだ。