27話 hgppy anniversary
初夏の陽気に心なしかそわそわと揺れる花々の間を、俺の天使が歩いている。真紅の薔薇を配したアーチの中で立ち止まり、その香りを吸い込んでいる。
「なあラブ、一緒に歩かないのか」
俺の方を振り向き尋ねるその瞳の煌めきに、目が眩む心持ちがする。
「俺はここからお前を見てるよ」
庭の中心に据えたアンティークな金属の椅子に座り、俺は自分で設計した楽園を見つめる。予想通りに仕上がった植物の間に、その美を完成させる最上の存在が、舞うように歩くのを眺める。
ぼうっとしていると、いつのまにか、天使が目の前に立っていた。美しいブロンドが風に揺れる。
「こんなに素敵な庭園に誘ってくれて、ありがとう」
「気に入ってもらえたなら良かった」
テーブルを挟んだ向かい側の椅子に座り、天使は楽しげだ。その耳に、俺と揃いの銀の羽根が輝く。天使は庭から俺に視線を移し、微笑んだ。
「ふふ。今日は記念日だな」
「記念日? 何のだ?」
「お前の庭に初めて来た記念日だよ」
あまりの純真さに、胸が苦しくなる。幸福に押しつぶされそうだ。
テーブルの上の白い手に、自分の手を重ねる。日溜りの暖かさに、胸の鼓動が少しずつ落ち着くのを感じる。
「そういうことなら、俺たちには毎日が記念日だな」
俺の言葉に、天使はにっこりと笑い、重ねた手を優しく握った。
「確かにそうだな。こうして共にいられるなんて、常に記念しておきたいくらい、幸せなことだから」
「よし。となれば、ティーパーティーだ」
空いている方の指を鳴らし、ティーポットやカップ、ケーキスタンドを出現させる。紅茶の香りに目を細める天使と、カップを鳴らし合って記念日を祝う。
今日という幸せな一日を祝う。
「なあラブ、一緒に歩かないのか」
俺の方を振り向き尋ねるその瞳の煌めきに、目が眩む心持ちがする。
「俺はここからお前を見てるよ」
庭の中心に据えたアンティークな金属の椅子に座り、俺は自分で設計した楽園を見つめる。予想通りに仕上がった植物の間に、その美を完成させる最上の存在が、舞うように歩くのを眺める。
ぼうっとしていると、いつのまにか、天使が目の前に立っていた。美しいブロンドが風に揺れる。
「こんなに素敵な庭園に誘ってくれて、ありがとう」
「気に入ってもらえたなら良かった」
テーブルを挟んだ向かい側の椅子に座り、天使は楽しげだ。その耳に、俺と揃いの銀の羽根が輝く。天使は庭から俺に視線を移し、微笑んだ。
「ふふ。今日は記念日だな」
「記念日? 何のだ?」
「お前の庭に初めて来た記念日だよ」
あまりの純真さに、胸が苦しくなる。幸福に押しつぶされそうだ。
テーブルの上の白い手に、自分の手を重ねる。日溜りの暖かさに、胸の鼓動が少しずつ落ち着くのを感じる。
「そういうことなら、俺たちには毎日が記念日だな」
俺の言葉に、天使はにっこりと笑い、重ねた手を優しく握った。
「確かにそうだな。こうして共にいられるなんて、常に記念しておきたいくらい、幸せなことだから」
「よし。となれば、ティーパーティーだ」
空いている方の指を鳴らし、ティーポットやカップ、ケーキスタンドを出現させる。紅茶の香りに目を細める天使と、カップを鳴らし合って記念日を祝う。
今日という幸せな一日を祝う。