168話 トップスターをみんなで

「わあ! キラキラ光って、とっても綺麗ね」
 夢を食べる魔物である獏君にも手伝ってもらって作ったトップスターを見て、ダイアナちゃんが歓声をあげた。黒いツリーの頂点についた星は、作った後で私の奇跡を使ったので、普通の紙よりも輝いて見える。
 星は以前、日本の折り紙が大好きな同僚から折り方を教わったことがあった。五枚の紙を組み合わせて作る、立体的な物だ。その時は教会を訪れた子供達にプレゼントしたものだが、こんな形でも役に立つとは思わなかった。
「星くらい、奇跡で出してやってもよかったんじゃないのか」
 小声で、悪魔が尋ねる。まあ、それはそうだ。けれど。
「無から有を作り出すのは、あまり良いことではない。それに、これから一ヶ月程度一緒に暮らすんだ……みんなで作った星の方が、楽しいだろう」
 悪魔の切れ長の目元が、ふっと和む。
「違いない」
 クリスマスまで、あとひと月ほど。楽しく聖なる期間が、こうして始まった。
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