164話 white bouquet
マツリカのお家での勉強会もいよいよ終盤に差し掛かってきた日のこと。珍しくカミラがやる気満々で、問題を解くペースが明らかに違った。回答のチェックをしているマツリカの様子を見るに、正答率自体は特に上がってはいないみたいだけれど、取り組むスピードが桁違いだ。
「すごいわね、カミラ。昨日の二倍くらいの速度で取り組んでいるんじゃない?」
私の言葉にもいい加減な相槌を打つばかりで、カミラは黙々と宿題に取り組んでいく。やがて日が落ちる頃合いになると、大急ぎでプリントや道具類をしまい始めた。
「今日もどうもありがとう、二人とも。それじゃあ失礼するわ」
お暇も、いつもより一時間ほど早い。いつもは宿題を終えてものんびりとお喋りをして、マツリカのお母さんが作る夕飯の匂いに急かされるようにして帰ることになるのに。
「カミラ、今日はどうも様子がおかしかったわね」
マツリカの言葉に、私は二回頷いた。
「ええ。今日は特におかしかったわね」
「それは失礼というものよ」
それから少しばかりお喋りをして、私もマツリカの家を出た。夏休みはもうすぐ終わるけれど、宿題ももう少しで終わる。まだまだ休みが続いて欲しいとは思うけれど、気分は軽い。腕を空に向けて伸びをしながら道を歩いている時だった。
前からやって来たカミラに出くわした。手に、花束を抱えている。
「ダイアナ。今、帰るところ?」
「そうよ」
私が「カミラは?」と言いかけた時、カミラは、手元の花束に視線を落とした。暗い中でも浮かび上がるような白色の花ばかりだ。ユリやカーネーションなど……墓前に備えるような。
「あ、いけない。私、お兄様に夕飯の支度を手伝うように言われてたんだわ。失礼するわね」
私はカミラに手を振って、駆け出した。何にでも顔を突っ込めばいいというものではない。
「あ……」
背後で、カミラが小さく「ありがとう」と呟くのが聞こえた。
「すごいわね、カミラ。昨日の二倍くらいの速度で取り組んでいるんじゃない?」
私の言葉にもいい加減な相槌を打つばかりで、カミラは黙々と宿題に取り組んでいく。やがて日が落ちる頃合いになると、大急ぎでプリントや道具類をしまい始めた。
「今日もどうもありがとう、二人とも。それじゃあ失礼するわ」
お暇も、いつもより一時間ほど早い。いつもは宿題を終えてものんびりとお喋りをして、マツリカのお母さんが作る夕飯の匂いに急かされるようにして帰ることになるのに。
「カミラ、今日はどうも様子がおかしかったわね」
マツリカの言葉に、私は二回頷いた。
「ええ。今日は特におかしかったわね」
「それは失礼というものよ」
それから少しばかりお喋りをして、私もマツリカの家を出た。夏休みはもうすぐ終わるけれど、宿題ももう少しで終わる。まだまだ休みが続いて欲しいとは思うけれど、気分は軽い。腕を空に向けて伸びをしながら道を歩いている時だった。
前からやって来たカミラに出くわした。手に、花束を抱えている。
「ダイアナ。今、帰るところ?」
「そうよ」
私が「カミラは?」と言いかけた時、カミラは、手元の花束に視線を落とした。暗い中でも浮かび上がるような白色の花ばかりだ。ユリやカーネーションなど……墓前に備えるような。
「あ、いけない。私、お兄様に夕飯の支度を手伝うように言われてたんだわ。失礼するわね」
私はカミラに手を振って、駆け出した。何にでも顔を突っ込めばいいというものではない。
「あ……」
背後で、カミラが小さく「ありがとう」と呟くのが聞こえた。