157話 名探偵によろしく

「探偵? ああ、そういえばいたな。ホームズかぶれが」
 リビングのテーブルに座って本を読んでいたお兄様は、私の話に顔を上げた。
「ふうん。ここまで辿り着くなんて、なかなか切れるやつだったらしい」
「それでね、お兄様。考えてみたのだけど……あの探偵さんには一度、この部屋まで辿り着かせてみてはどうかしら」
 お兄様は、形の良い眉を上げた。
「なるほど。それは面白いかもしれないな」
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