145話 My treasure
昼休み、一緒に学校内のカフェテラスで昼食をとっていたマツリカが、ほんのちょっとだけ視線を下げた。控えめなマツリカは、何か気がかりなことがあってもわざわざ私に言ってきたりしない。
「マツリカ、何か悩みでもあるの」
サンドイッチをついばむみたいに食べていたのを中断して、マツリカはポケットからロケットを取り出した。マツリカの白い手のひらにころりと転がった小さなそれは、綺麗な銀でできているみたいだった。
「綺麗なロケットね」
「そうでしょう。でも」
マツリカは、その蓋を開いて、そのまま蓋だけをテーブルに置いてしまった。
「あら……」
「蝶番が古くなっていたみたいで、今朝、完全に離れてしまったの」
本来、ロケットの蓋は指で開閉ができるようになっている。けれど、蓋と本体を繋ぐ蝶番の真ん中、ちょうど開閉するたびに動くことになる部分が劣化していたのか、折れてしまったみたいで、接着剤でくっつけたとしても、上手く機能はしなさそう。
マツリカは、本体に嵌っている写真を撫でた。そこには、私も何度か会ったことのあるマツリカのご両親やペットの他に、見たことのない人たちも写っている。
「こちらに来る前、日本のお家で撮った写真を、日本のおばあちゃんからもらったこれに入れて持ち歩いているんだけれど……。何にでも寿命はあるものよね。仕方ないわ」
マツリカは静かに言うけれど、心の奥底では全然諦めがついていないのがわかる。大切にしている物が壊れて、すぐに切り替えられる人なんていない。
「……マツリカ。もしよかったら、一晩だけ貸してみて。直せるかも」
「本当? あ、もしかして、何でもできちゃうあのお兄様なら直せるのかしら」
「え、ええ。そんな感じよ」
そうして受け取ったロケットが、今、私の部屋の机に置いてある。さっき魔法をかけて、蝶番を新品にしておいた。きっと明日、マツリカは喜んでくれるだろう。
……それにしても。
魔法をかけるためにロケットをいじっていたら、家族写真の裏から、私と一緒に撮った写真まで出てきたのよね。
家族と同じように思ってくれているのは、嬉しいわ。
「マツリカ、何か悩みでもあるの」
サンドイッチをついばむみたいに食べていたのを中断して、マツリカはポケットからロケットを取り出した。マツリカの白い手のひらにころりと転がった小さなそれは、綺麗な銀でできているみたいだった。
「綺麗なロケットね」
「そうでしょう。でも」
マツリカは、その蓋を開いて、そのまま蓋だけをテーブルに置いてしまった。
「あら……」
「蝶番が古くなっていたみたいで、今朝、完全に離れてしまったの」
本来、ロケットの蓋は指で開閉ができるようになっている。けれど、蓋と本体を繋ぐ蝶番の真ん中、ちょうど開閉するたびに動くことになる部分が劣化していたのか、折れてしまったみたいで、接着剤でくっつけたとしても、上手く機能はしなさそう。
マツリカは、本体に嵌っている写真を撫でた。そこには、私も何度か会ったことのあるマツリカのご両親やペットの他に、見たことのない人たちも写っている。
「こちらに来る前、日本のお家で撮った写真を、日本のおばあちゃんからもらったこれに入れて持ち歩いているんだけれど……。何にでも寿命はあるものよね。仕方ないわ」
マツリカは静かに言うけれど、心の奥底では全然諦めがついていないのがわかる。大切にしている物が壊れて、すぐに切り替えられる人なんていない。
「……マツリカ。もしよかったら、一晩だけ貸してみて。直せるかも」
「本当? あ、もしかして、何でもできちゃうあのお兄様なら直せるのかしら」
「え、ええ。そんな感じよ」
そうして受け取ったロケットが、今、私の部屋の机に置いてある。さっき魔法をかけて、蝶番を新品にしておいた。きっと明日、マツリカは喜んでくれるだろう。
……それにしても。
魔法をかけるためにロケットをいじっていたら、家族写真の裏から、私と一緒に撮った写真まで出てきたのよね。
家族と同じように思ってくれているのは、嬉しいわ。