143話 悪魔は常に正しい
お兄様は本当に何でも簡単にこなしてしまう。人間にできることは全て、最高のクオリティで実行できるようになっているのだという。元からそう言うふうに作られたらしいけれど、お兄様はきっと悪魔の中でも器用な方だと思う。
「今日のおやつはクリームソーダだぜ」
「まあ」
外に出たら死んでしまいそうな暑さが続くので家から出たくはなくて、でも何か夏らしさが欲しいわねと思っていたら、お兄様が、緑色のソーダにバニラアイスが載ったクリームソーダを持って来てくれた。シュワシュワと泡が上っていくソーダは、見ただけで夏を感じられる。
「お兄様って、私の心を読めたりするの?」
「いいや」
ひょいと肩をすくめ、お兄様は続ける。
「ダイアナの心なんて読まなくてもわかる」
「あら」
でも、それはそうかもしれないわね。そんなに難しいことを考えたことはないし……。
透き通ったおしゃれなグラスを眺めながら、何の気なしに聞いてみる。
「それじゃあ今、私が何を考えてるか当ててみて」
「思い切り小さくなって、ソーダの海で泳いで、ぷかぷか浮かぶアイスの氷山にかぶりつきたい」
「あら」
まさか当てられるとは思っていなかった。
「ついでに言っとくが、これまでに教えてある魔法で、そいつは実行可能だ。だが俺なら、自分が浸かっている液体を飲みたいとは全く思わんがな」
だからおすすめはしないぜ、と言い残して、お兄様は部屋を出て行った。私は閉じたドアを見ながら、今聞いた言葉を何度も頭の中で繰り返した。
……結論だけ書いておく。
お兄様はいつでも正しい。
「今日のおやつはクリームソーダだぜ」
「まあ」
外に出たら死んでしまいそうな暑さが続くので家から出たくはなくて、でも何か夏らしさが欲しいわねと思っていたら、お兄様が、緑色のソーダにバニラアイスが載ったクリームソーダを持って来てくれた。シュワシュワと泡が上っていくソーダは、見ただけで夏を感じられる。
「お兄様って、私の心を読めたりするの?」
「いいや」
ひょいと肩をすくめ、お兄様は続ける。
「ダイアナの心なんて読まなくてもわかる」
「あら」
でも、それはそうかもしれないわね。そんなに難しいことを考えたことはないし……。
透き通ったおしゃれなグラスを眺めながら、何の気なしに聞いてみる。
「それじゃあ今、私が何を考えてるか当ててみて」
「思い切り小さくなって、ソーダの海で泳いで、ぷかぷか浮かぶアイスの氷山にかぶりつきたい」
「あら」
まさか当てられるとは思っていなかった。
「ついでに言っとくが、これまでに教えてある魔法で、そいつは実行可能だ。だが俺なら、自分が浸かっている液体を飲みたいとは全く思わんがな」
だからおすすめはしないぜ、と言い残して、お兄様は部屋を出て行った。私は閉じたドアを見ながら、今聞いた言葉を何度も頭の中で繰り返した。
……結論だけ書いておく。
お兄様はいつでも正しい。