14話 Fly me to the moon.
再び大天使に呼ばれて参上した執務室には、大天使の他にも、噂を聞きつけて集まった、多くの仲間の天使たちが揃っていた。普段、あまり一堂に会さない天使がこうして並んでいるのを見ると、少し気後れしてしまう。
「……あの、これは」
おずおずと声を上げると、大天使は先日とは打って変わって穏やかな微笑みを見せた。
「喜ぶが良い。お前の罪は浄化されたようだ」
「え……? それは、どういう」
「堕天の兆候が、綺麗に消えている。理由は不明だが、恐らく主の大いなる御業に違いあるまい。お前の今までの貢献が認められたのだ」
そんなことが起こるとは思っていなかった、筈なのだが、妙な納得感があった。やはりそうかという、自分の確信の裏付けが取れたような、不思議な感覚だった。大天使をはじめとした天使たちは、私を取り囲み、笑顔で祝福してくれる。
「主の奇跡に感謝を。仲間が敵に堕ちずに済んだことに、感謝を」
「ありがとうございます」
心の底から安心感が込み上げて来て、私は頭を下げた。これで、主の、善の道から離れずに済む。今まで通り、人間を正しい方向に導いていくことが出来る。しかし……、ついこの間まで、私はもう一つ、葛藤を抱いていたような気がしてならない。堕天使になるくらいなら大人しく粛清されようという覚悟をしていたのでは、なかったような気が。
「これからも、善を成すのだ。期待している」
大天使の慈愛がこもった声に、私は再び頭を下げた。
「……あの、これは」
おずおずと声を上げると、大天使は先日とは打って変わって穏やかな微笑みを見せた。
「喜ぶが良い。お前の罪は浄化されたようだ」
「え……? それは、どういう」
「堕天の兆候が、綺麗に消えている。理由は不明だが、恐らく主の大いなる御業に違いあるまい。お前の今までの貢献が認められたのだ」
そんなことが起こるとは思っていなかった、筈なのだが、妙な納得感があった。やはりそうかという、自分の確信の裏付けが取れたような、不思議な感覚だった。大天使をはじめとした天使たちは、私を取り囲み、笑顔で祝福してくれる。
「主の奇跡に感謝を。仲間が敵に堕ちずに済んだことに、感謝を」
「ありがとうございます」
心の底から安心感が込み上げて来て、私は頭を下げた。これで、主の、善の道から離れずに済む。今まで通り、人間を正しい方向に導いていくことが出来る。しかし……、ついこの間まで、私はもう一つ、葛藤を抱いていたような気がしてならない。堕天使になるくらいなら大人しく粛清されようという覚悟をしていたのでは、なかったような気が。
「これからも、善を成すのだ。期待している」
大天使の慈愛がこもった声に、私は再び頭を下げた。