141話 星じゃない私たちは
今日の日記は、ちょっと特別。ここはマツリカのお部屋なの。マツリカのご家族と一緒に夕飯をいただいて、ひと足早くシャワーを使わせてもらって、今はマツリカの机を借りてこうして書いているのだけど、初めての場所で日記を書くのって、なんだか不思議な感じ。
マツリカのお家に泊まるのは別に初めてではないのだけど、このお家は初めて。マツリカ一家はお母様のお仕事のご都合で、ついこの間ここに引っ越してきたのだけど、ここが街中から結構離れていて夜空が綺麗に見えるから、泊まりに来ないかと誘ってもらったというわけ。
夜空は本当に綺麗だった。昨年も、天使様や天使見習いのアダムと一緒に満点の綺麗な星空を見たのだけど、今晩見た星空も、やっぱり綺麗だった。
このお家は小高い丘の上にあって、ベランダから屋根に登れるようになっている。私とマツリカは梯子を登って、並んで屋根に座った。お家の窓から少しだけ漏れる光がマツリカの穏やかな横顔を照らすのをぼうっと見ていたら、マツリカが空を指した。
「天の川」
マツリカの指の先に、細かな光の帯がぼんやりと見えてくる。
「綺麗ね」
いつもよりも言葉が少ないけれど、騒がしいものが辺りにない分、マツリカの心がすぐ近くにあるような気がした。柔らかい黒髪が私の腕に触れて、くすぐったかった。
「日本ではね、ベガとアルタイルは愛し合っていて、一年に一度、天の川を渡って会うことができると言われているの」
「一年に一度しか逢えないの」
思わず大きな声が出てしまった私に、マツリカは微笑んだ。
「そうなの。悲しいわよね」
愛し合う二人と聞いて真っ先に思いついたのが、お兄様と天使様だった。あの二人が年に一度しか会えないとしたら、お兄様は、悪魔としてはあり得ないことだけど、病気になってしまうんじゃないかしら。
「私たちは星から生まれたと聞いたことがあるのだけど、今、星じゃなくてよかったなと思うの。だってこうやって、ダイアナと一緒に星空を見上げていられるんだもの」
マツリカの言葉が嬉しくて、私はぴったり彼女の隣にくっついた。
「そうね。でも私たち、星だったとしてもきっと一緒だったわ」
まだまだ夜は続くし、明日は休日。この部屋に続く階段を登ってくる、マツリカの足音がする。この後もたくさんお喋りをして、窓から空を見るのだ。ワクワクする。
星じゃない私たちは、夜が明けても見えなくなったりしないのだから。
マツリカのお家に泊まるのは別に初めてではないのだけど、このお家は初めて。マツリカ一家はお母様のお仕事のご都合で、ついこの間ここに引っ越してきたのだけど、ここが街中から結構離れていて夜空が綺麗に見えるから、泊まりに来ないかと誘ってもらったというわけ。
夜空は本当に綺麗だった。昨年も、天使様や天使見習いのアダムと一緒に満点の綺麗な星空を見たのだけど、今晩見た星空も、やっぱり綺麗だった。
このお家は小高い丘の上にあって、ベランダから屋根に登れるようになっている。私とマツリカは梯子を登って、並んで屋根に座った。お家の窓から少しだけ漏れる光がマツリカの穏やかな横顔を照らすのをぼうっと見ていたら、マツリカが空を指した。
「天の川」
マツリカの指の先に、細かな光の帯がぼんやりと見えてくる。
「綺麗ね」
いつもよりも言葉が少ないけれど、騒がしいものが辺りにない分、マツリカの心がすぐ近くにあるような気がした。柔らかい黒髪が私の腕に触れて、くすぐったかった。
「日本ではね、ベガとアルタイルは愛し合っていて、一年に一度、天の川を渡って会うことができると言われているの」
「一年に一度しか逢えないの」
思わず大きな声が出てしまった私に、マツリカは微笑んだ。
「そうなの。悲しいわよね」
愛し合う二人と聞いて真っ先に思いついたのが、お兄様と天使様だった。あの二人が年に一度しか会えないとしたら、お兄様は、悪魔としてはあり得ないことだけど、病気になってしまうんじゃないかしら。
「私たちは星から生まれたと聞いたことがあるのだけど、今、星じゃなくてよかったなと思うの。だってこうやって、ダイアナと一緒に星空を見上げていられるんだもの」
マツリカの言葉が嬉しくて、私はぴったり彼女の隣にくっついた。
「そうね。でも私たち、星だったとしてもきっと一緒だったわ」
まだまだ夜は続くし、明日は休日。この部屋に続く階段を登ってくる、マツリカの足音がする。この後もたくさんお喋りをして、窓から空を見るのだ。ワクワクする。
星じゃない私たちは、夜が明けても見えなくなったりしないのだから。