139話 三日月のパン
今日は、お家に天使様が遊びに来た。ちょうどお昼時で、天使様は両腕に抱えたバスケットから次々とパンを取り出した。
「これはチョココロネ、これはチキンサンド、これはパニーニ、これはホットドッグ、これはクロワッサン……」
「天使様、こんなに買ってきてくれてありがとう!」
テーブルにパンを並べるのを手伝いながらお礼を言うと、天使様は綺麗なお顔にはにかんだような笑みを浮かべた。私のよりも透き通るように見える金髪がふわりと首筋にかかるのが本当に神々しくて、思わず手を合わせてしまいそうになる。
「パン屋さんがタイムセールしていたものだから、つい買いすぎてしまって。喜んでもらえたならよかった」
「ダイアナは食べ物なら何でも喜ぶもんな」
天使様がいるといつもより楽しそうなお兄様がからかうように言うけれど、その通りだから、私は素直に頷いて見せる。
「その通りよ! 美味しいものは何でも好きなの」
「はは。俺は要らないから、ダイアナと天使サマで食べるといい」
お兄様はいつもコーヒーを飲むばかりで、食べる私たちをにこにこ見ていることが多い。それならいただこうかしら、と思ったら、天使様がお兄様にパンを差し出した。
「ラブも少し食べてみたら。このクロワッサンなんかお勧めだよ」
「ん……天使サマのお勧めなら、ありがたくいただくとするか」
ふふ。お兄様ったら、天使様のことが本当に好きなんだわ。いつもクールなのに、こういう時、なんだか親近感を覚えてしまう。
なんて思っていたら、パンを受け取ったお兄様に話を振られた。
「そういえばダイアナ。クロワッサンって何語か知ってるか」
「そうね……。パンと言ったらなんとなくフランスのイメージがあるし、フランス語かしら」
「大正解。それじゃあ、何て意味かわかるか?」
流石にわからなくて首を捻っていると、お兄様が「ヒントは形」と言う。それでもわからない。
「天使サマはわかるよな」
お兄様と私がさっきからおとなしい天使様を見ると、天使様は今まさに、ホットドッグを頬張っているところだった。私たちに突然注目されてびっくりしたらしい天使様は、首を傾げて微笑んだ。
「ごめんね、美味しくて、つい食べるのに夢中になってしまった。何の話だい?」
お美しいお顔の口元に、ケチャップとパンくずが付いている。
私とお兄様は顔を見合わせ、笑い合った。
「これはチョココロネ、これはチキンサンド、これはパニーニ、これはホットドッグ、これはクロワッサン……」
「天使様、こんなに買ってきてくれてありがとう!」
テーブルにパンを並べるのを手伝いながらお礼を言うと、天使様は綺麗なお顔にはにかんだような笑みを浮かべた。私のよりも透き通るように見える金髪がふわりと首筋にかかるのが本当に神々しくて、思わず手を合わせてしまいそうになる。
「パン屋さんがタイムセールしていたものだから、つい買いすぎてしまって。喜んでもらえたならよかった」
「ダイアナは食べ物なら何でも喜ぶもんな」
天使様がいるといつもより楽しそうなお兄様がからかうように言うけれど、その通りだから、私は素直に頷いて見せる。
「その通りよ! 美味しいものは何でも好きなの」
「はは。俺は要らないから、ダイアナと天使サマで食べるといい」
お兄様はいつもコーヒーを飲むばかりで、食べる私たちをにこにこ見ていることが多い。それならいただこうかしら、と思ったら、天使様がお兄様にパンを差し出した。
「ラブも少し食べてみたら。このクロワッサンなんかお勧めだよ」
「ん……天使サマのお勧めなら、ありがたくいただくとするか」
ふふ。お兄様ったら、天使様のことが本当に好きなんだわ。いつもクールなのに、こういう時、なんだか親近感を覚えてしまう。
なんて思っていたら、パンを受け取ったお兄様に話を振られた。
「そういえばダイアナ。クロワッサンって何語か知ってるか」
「そうね……。パンと言ったらなんとなくフランスのイメージがあるし、フランス語かしら」
「大正解。それじゃあ、何て意味かわかるか?」
流石にわからなくて首を捻っていると、お兄様が「ヒントは形」と言う。それでもわからない。
「天使サマはわかるよな」
お兄様と私がさっきからおとなしい天使様を見ると、天使様は今まさに、ホットドッグを頬張っているところだった。私たちに突然注目されてびっくりしたらしい天使様は、首を傾げて微笑んだ。
「ごめんね、美味しくて、つい食べるのに夢中になってしまった。何の話だい?」
お美しいお顔の口元に、ケチャップとパンくずが付いている。
私とお兄様は顔を見合わせ、笑い合った。