129話 幸せの便り

 今年の夏は、いつもよりちょっとだけ賑やかだった。天使様のもとに、天使見習いの男の子がやって来ていたからだ。
 名前はアダム。私が付けてあげた。私や天使様と同じく金髪と青い目の持ち主で、天使様みたいにふわふわな髪の毛は天使様より短くて、それだけ男の子っぽさが強い。人間界に初めて降り立った彼は、私と同い年くらいの見た目で、同い年くらいの精神年齢らしかった。だから、天使様は私に彼を引き合わせたのだ。
 アダムは天界に帰る前、私に手紙を書いてくれた。私への感謝と、一人前の天使になるという抱負が書かれた、清浄な手紙だった。だから私も、可愛い花が描かれた便箋と封筒、新しいインクを用意して、お返事を書いた。アダムがいなくなって寂しいということと、素敵な手紙をくれたことへの感謝、最近の出来事を綴って、天使様に渡してもらった。
 その返事が、今日、届いた。
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