128話 天使と悪魔と不可視のピラミッド

 二人の男の跡をつけながら、私はその会話を聞いていた。どうやらビシャーラは、自分が個人で信奉している「神」を崇める、新宗教を立ち上げる気でいるらしい。それ自体は特に、私にとって問題ではない。人が何か、自分にとって神だと信じるものに救われることは事実だし、その対象がなんであれ、信仰心こそが、私たち天使や天上の主には重要なのだ。
 だが、一つ気になっていることがある。彼はそれを、何のためにしようとしているのか。
 本当にその神を広めることが人々のためになると信じていて、そのために行動しているのか。それとも、別に目的があるのか。
 私たち天界の者にとって、純粋な信仰心以外は意味を持たない。初めは純粋な気持ちだったはずのものが、いつの間にやら黒く分厚い物に覆われて行くのが、人の心の常だ。それを諌めて、またはそうならないように、純粋な信仰心に導くことが、私たちの仕事だ。
 私は、彼の真意を知る必要がある。
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