104話 あの子に夢中
リビングでパソコンに向かって仕事をしているところに、ダイアナがやって来た。
「菓子なら、この間作った琥珀糖がまだ余ってるぞ」
「もう、お兄様。私が来たら必ずお菓子を食べると思ってるんでしょう」
「違うのか」
「いただけるのならいただくけれど」
ダイアナはしまっておいた琥珀糖を取り出して来て頬張り始めた。どこからかコウモリも飛んできて、ダイアナに紅茶を淹れ始めた。同じ使い魔仲間にもよく気の回るやつだ。俺はまた画面に目を向けたが、正面に座ったダイアナの視線を感じて手を止めた。
「どうした」
「ずっと気になっていたことがあって」
言ってみるよう促すと、ダイアナは思っても見なかったことを聞いてきた。
「お兄様は天使様の、どういうところが好きなの?」
パソコンを閉じる。これは真剣に回答すべき問題だ。
「そうだな。細かいところを挙げればキリがない。大まかに言うなら、全てだ」
ダイアナが目を丸くした。
「そうなの……」
「ああ。魂に一点の汚れもないのが奇跡みたいなものなんだ。天使だから当たり前だと思うだろう。でもあいつはほら、天使なのに変わってるだろ。それなのに魂は純粋のままで、俺はそれに惚れ込んだんだよ。今のあいつの見た目も、俺は気に入ってる。俺もあいつも、あと十年もすれば完全に見た目を変えることになるだろうが、ベースはあれでいってほしいもんだと常々思ってるよ。なんせ魂の美しさがそのまま見た目にも表れているからな。細かいところになるが、俺はあいつの見た目の中で、特に目が好きなんだ。青空みたいに澄み渡っているだろう。思いがけないことが起きた時に、あいつが目をぱちぱちと瞬かせると青空の中に細かい星が散るようで、それを見るのが好きなんだ」
ここまで一息に話した俺を、ダイアナは微妙な目で見ていた。それこそ天使にそっくりの青い瞳がぱちぱちと瞬く。
「お兄様って……」
「ん」
「天使様オタクよね」
「菓子なら、この間作った琥珀糖がまだ余ってるぞ」
「もう、お兄様。私が来たら必ずお菓子を食べると思ってるんでしょう」
「違うのか」
「いただけるのならいただくけれど」
ダイアナはしまっておいた琥珀糖を取り出して来て頬張り始めた。どこからかコウモリも飛んできて、ダイアナに紅茶を淹れ始めた。同じ使い魔仲間にもよく気の回るやつだ。俺はまた画面に目を向けたが、正面に座ったダイアナの視線を感じて手を止めた。
「どうした」
「ずっと気になっていたことがあって」
言ってみるよう促すと、ダイアナは思っても見なかったことを聞いてきた。
「お兄様は天使様の、どういうところが好きなの?」
パソコンを閉じる。これは真剣に回答すべき問題だ。
「そうだな。細かいところを挙げればキリがない。大まかに言うなら、全てだ」
ダイアナが目を丸くした。
「そうなの……」
「ああ。魂に一点の汚れもないのが奇跡みたいなものなんだ。天使だから当たり前だと思うだろう。でもあいつはほら、天使なのに変わってるだろ。それなのに魂は純粋のままで、俺はそれに惚れ込んだんだよ。今のあいつの見た目も、俺は気に入ってる。俺もあいつも、あと十年もすれば完全に見た目を変えることになるだろうが、ベースはあれでいってほしいもんだと常々思ってるよ。なんせ魂の美しさがそのまま見た目にも表れているからな。細かいところになるが、俺はあいつの見た目の中で、特に目が好きなんだ。青空みたいに澄み渡っているだろう。思いがけないことが起きた時に、あいつが目をぱちぱちと瞬かせると青空の中に細かい星が散るようで、それを見るのが好きなんだ」
ここまで一息に話した俺を、ダイアナは微妙な目で見ていた。それこそ天使にそっくりの青い瞳がぱちぱちと瞬く。
「お兄様って……」
「ん」
「天使様オタクよね」