86話 願いを新たに
市民会館からの帰り道、天使は自分の作品をなかなか仕舞おうとしなかった。久しぶりに毛筆で書いたのが楽しかったのだろう。
「ふふ。楽しかったし、よく書けたなあ」
天使が書いたのは『世界平和』の四文字。俺とは無縁の言葉だが、正しく天使らしい文字だと思う。まあ、一個人の目標と言うには少々荷が勝ちすぎているが。
「それにしてもラブの書き初めもよかったね。お前が達筆なのには驚かないけれども、……『家内安全』とは」
「……他にそれらしいのが思いつかなかっただけだ」
「うん。分かっているよ」
本当に、全てを分かっているのだろう天使の笑顔が眩しくて、俺は視線を逸らした。
「書いたからには、しっかり達成しないとね」
「ああ」
家で待つ使い魔たちのことを思い浮かべつつ、俺は天使と共に帰路に着いた。
「ふふ。楽しかったし、よく書けたなあ」
天使が書いたのは『世界平和』の四文字。俺とは無縁の言葉だが、正しく天使らしい文字だと思う。まあ、一個人の目標と言うには少々荷が勝ちすぎているが。
「それにしてもラブの書き初めもよかったね。お前が達筆なのには驚かないけれども、……『家内安全』とは」
「……他にそれらしいのが思いつかなかっただけだ」
「うん。分かっているよ」
本当に、全てを分かっているのだろう天使の笑顔が眩しくて、俺は視線を逸らした。
「書いたからには、しっかり達成しないとね」
「ああ」
家で待つ使い魔たちのことを思い浮かべつつ、俺は天使と共に帰路に着いた。