82話 想いを継いで 聖夜の贈り物
十二月二十四日、夜。最近では恒例になりつつあるパーティが終わり、ダイアナちゃんが眠そうな目をこすりながら寝室へ行ってしまったあとで、残った私と男はテーブルを挟んで向かい合っていた。手元のホットココアが湯気をたてて、幸せな時間を演出してくれている。
「ダイアナのやつ、まだサンタを信じてるんだってな」
黒髪の男が面白そうに言い、ホットワインを口に含んだ。ダイアナちゃんは元人間だが不幸な事件に巻き込まれて、現在ではこの男の使い魔として暮らしている。使い魔になったとはいえ元々の年齢が年齢だし、サンタを信じているというのは、家族から愛されて育ってきた彼女らしいとも言える。
「ふふ。信じた方が楽しめることはたくさんあるさ。例えば、私の恋人である悪魔は自分では否定するけれどもとても優しい、とかね」
男はゲホゲホと咳き込んだ。
「天使サマ、急にそういう冗談はよしてくれ」
「冗談ではないのだけどね。……ああ、サンタと言えば。私は以前、サンタクロースに会ったことがあるんだ」
呼吸を落ち着けた男は不思議そうに私を見て、それからすぐににやりと笑った。
「ああ、なるほど。サンタのモデルになった人間の方かな」
「さすが、察しがいいね。そう、これは随分昔の話だけれど……」
「ダイアナのやつ、まだサンタを信じてるんだってな」
黒髪の男が面白そうに言い、ホットワインを口に含んだ。ダイアナちゃんは元人間だが不幸な事件に巻き込まれて、現在ではこの男の使い魔として暮らしている。使い魔になったとはいえ元々の年齢が年齢だし、サンタを信じているというのは、家族から愛されて育ってきた彼女らしいとも言える。
「ふふ。信じた方が楽しめることはたくさんあるさ。例えば、私の恋人である悪魔は自分では否定するけれどもとても優しい、とかね」
男はゲホゲホと咳き込んだ。
「天使サマ、急にそういう冗談はよしてくれ」
「冗談ではないのだけどね。……ああ、サンタと言えば。私は以前、サンタクロースに会ったことがあるんだ」
呼吸を落ち着けた男は不思議そうに私を見て、それからすぐににやりと笑った。
「ああ、なるほど。サンタのモデルになった人間の方かな」
「さすが、察しがいいね。そう、これは随分昔の話だけれど……」