79話 天使と悪魔のトレジャーハント
「何それとっても楽しそう! ああん、私も行きたかったあ!」
ダイアナちゃんは悪魔の予想通り、悔しげに仰向いて叫んだ。帰国してすぐに揃って旅行の報告をした、その直後のことだ。
「はは。まあ面白かったぜ。天使サマが全ての罠を作動させるもんだから」
「え、あれって全て私が作動させていたのか……? てっきり自動的に作動しているものもあるかと」
悪魔は大きく首を振る。
「いや、あれは全て天使サマが作動させてたぜ。俺は仕掛けがありそうな所くらい見当がついてたから避けてたしな」
「言ってくれればよかったのに」
「だって、それじゃ面白くないだろ」
……ちょっとショックだ。
「それで、お宝はそのネックレスだけだったのね。そっかあ」
それひとつだけだったのなら、取ってくるわけにはいかないものね、と、ダイアナちゃんは仕方なさそうにため息をつく。
そこで、悪魔が愉快そうに目を細め、指を鳴らした。ぱちん、と言う音と共に空中に現れたのは、……あのネックレスだ。
「お兄様! それって……」
「要は、何か代わりになるものがそこにあればいい訳だ。金銀財宝、それに新しいメッセージ付きの石板を、このネックレスの代わりに置いてきてやったのさ」
綺麗に汚れを拭き取られ、いくらかの魔法により美しさを取り戻した黄金のネックレスは、ダイアナちゃんの手の中できらきらと輝いた。
「わあ、凄い! これもらっていいの?」
「もちろんだ。元はと言えば、お前が見つけてきた地図だからな。俺は天使サマと『冒険』できただけで満足さ」
その『冒険』の最中、彼が何度もダイアナちゃんを気にかけていたことは、今は黙っておくとしよう。
「私も、いつもと一味違ったデートができて楽しかったよ。ダイアナちゃん、ありがとう」
礼を言うと、ダイアナちゃんは顔を真っ赤にして照れてしまった。
「天使サマにお礼を言われるなんて。……ね、また似たような地図を見つけたら、今度こそ三人で行きましょうね!」
ダイアナちゃんが私と悪魔の腕をとり、その間で笑う。私と悪魔は顔を見合わせ、肩をすくめた。そうして、彼女の頭をひとしきり撫でた。
ダイアナちゃんは悪魔の予想通り、悔しげに仰向いて叫んだ。帰国してすぐに揃って旅行の報告をした、その直後のことだ。
「はは。まあ面白かったぜ。天使サマが全ての罠を作動させるもんだから」
「え、あれって全て私が作動させていたのか……? てっきり自動的に作動しているものもあるかと」
悪魔は大きく首を振る。
「いや、あれは全て天使サマが作動させてたぜ。俺は仕掛けがありそうな所くらい見当がついてたから避けてたしな」
「言ってくれればよかったのに」
「だって、それじゃ面白くないだろ」
……ちょっとショックだ。
「それで、お宝はそのネックレスだけだったのね。そっかあ」
それひとつだけだったのなら、取ってくるわけにはいかないものね、と、ダイアナちゃんは仕方なさそうにため息をつく。
そこで、悪魔が愉快そうに目を細め、指を鳴らした。ぱちん、と言う音と共に空中に現れたのは、……あのネックレスだ。
「お兄様! それって……」
「要は、何か代わりになるものがそこにあればいい訳だ。金銀財宝、それに新しいメッセージ付きの石板を、このネックレスの代わりに置いてきてやったのさ」
綺麗に汚れを拭き取られ、いくらかの魔法により美しさを取り戻した黄金のネックレスは、ダイアナちゃんの手の中できらきらと輝いた。
「わあ、凄い! これもらっていいの?」
「もちろんだ。元はと言えば、お前が見つけてきた地図だからな。俺は天使サマと『冒険』できただけで満足さ」
その『冒険』の最中、彼が何度もダイアナちゃんを気にかけていたことは、今は黙っておくとしよう。
「私も、いつもと一味違ったデートができて楽しかったよ。ダイアナちゃん、ありがとう」
礼を言うと、ダイアナちゃんは顔を真っ赤にして照れてしまった。
「天使サマにお礼を言われるなんて。……ね、また似たような地図を見つけたら、今度こそ三人で行きましょうね!」
ダイアナちゃんが私と悪魔の腕をとり、その間で笑う。私と悪魔は顔を見合わせ、肩をすくめた。そうして、彼女の頭をひとしきり撫でた。