絶対に忘れない
「昨日、私変なこと言わなかった? お願い、忘れて……!」
両手を合わせ何度も懇願する弥生のふわふわの長髪を眺めながら、何と答えようかなと悩む。酔うと記憶を失くすのは弥生の昔からの癖だし、失言を恐れて同席者に記憶喪失の道連れを頼むのも昔からだ。こういう時、私はいつも笑って「いいよいいよ」と流してきた。
けれど。
「無理。ぜーったいに忘れない」
私の返答に、弥生の顔から血の気が失せていく。
「なんでそんな意地悪言うの」
可愛い目尻に涙が輝く。
「弥生が思い出せたらわかるよ」
「わ、わかった絶対思い出す!」
思い出して悶絶するといい。
「ずっと好きだった」なんて言葉、忘れられる訳ないのだ。
両手を合わせ何度も懇願する弥生のふわふわの長髪を眺めながら、何と答えようかなと悩む。酔うと記憶を失くすのは弥生の昔からの癖だし、失言を恐れて同席者に記憶喪失の道連れを頼むのも昔からだ。こういう時、私はいつも笑って「いいよいいよ」と流してきた。
けれど。
「無理。ぜーったいに忘れない」
私の返答に、弥生の顔から血の気が失せていく。
「なんでそんな意地悪言うの」
可愛い目尻に涙が輝く。
「弥生が思い出せたらわかるよ」
「わ、わかった絶対思い出す!」
思い出して悶絶するといい。
「ずっと好きだった」なんて言葉、忘れられる訳ないのだ。