寝てばかりなのに点数取る彼女
授業中はいつも寝ているのに、なぜだかとても模試やテストの点数がよい子がいる。テスト前になると、みんながその子にお金を払って予想問題を聞きたがる。一問につき百円なんてアコギな値段設定にもかかわらず注文が殺到するのは、彼女の予想問題の的中率の高さゆえだ。
「わたし、頭よくなんてないんだけどね」
ある日、ふと彼女はそう漏らした。やたらと欠席が多くて、私と彼女の二人だけで、教室の掃除をしなくてはならなかったときのことだ。
「へえ。でも、テストいつも、ほぼ満点じゃん。単純に凄いと思うけど」
嫌味か、と思いながらそう言うと、彼女は首を振った。
「私、いつも寝てるじゃん。あれは必要だから、ああしてるんだ」
「夜遅くまで勉強してるってこと?」
「ううん、そうじゃなくて。夢の中でテスト問題を見てるの。私、予知夢が見られるんだ」
はあ? と言いそうになったのをグッとこらえて、私は「ふうん」と相槌を打った。ここで彼女の機嫌を損ねたら、次の期末試験の問題を教えてもらえなくなってしまう。
「子どもの頃から、見た夢が現実になることが多くて。でも、その内容は一回につき断片的なものしか見られないのね。だから、完全なテストの予想問題を見ようと思ったら、夜だけじゃ足りない。何回にも分けて、夢を見なくちゃいけない訳」
理屈は分かったが、理屈の問題ではなく、分からない。そんなことが現実にあるものなのか。
「はは、疑うなら、何でも私に問題出してみてよ。答えられないから」
「いや、そこ、胸張るとこじゃないけど」
予知夢なんてものが本当にあるのかどうか、そんなことはよく分からない。けれど、これまで「授業中は寝てるけど家でガリ勉して高得点出してる嫌なやつ」とばかり思っていた彼女へのイメージが激変したのは確かだ。
今度からは、テストの予想問題なんて買わないことにしよう。なんだか、それは友達にすることじゃない気がするから。
「わたし、頭よくなんてないんだけどね」
ある日、ふと彼女はそう漏らした。やたらと欠席が多くて、私と彼女の二人だけで、教室の掃除をしなくてはならなかったときのことだ。
「へえ。でも、テストいつも、ほぼ満点じゃん。単純に凄いと思うけど」
嫌味か、と思いながらそう言うと、彼女は首を振った。
「私、いつも寝てるじゃん。あれは必要だから、ああしてるんだ」
「夜遅くまで勉強してるってこと?」
「ううん、そうじゃなくて。夢の中でテスト問題を見てるの。私、予知夢が見られるんだ」
はあ? と言いそうになったのをグッとこらえて、私は「ふうん」と相槌を打った。ここで彼女の機嫌を損ねたら、次の期末試験の問題を教えてもらえなくなってしまう。
「子どもの頃から、見た夢が現実になることが多くて。でも、その内容は一回につき断片的なものしか見られないのね。だから、完全なテストの予想問題を見ようと思ったら、夜だけじゃ足りない。何回にも分けて、夢を見なくちゃいけない訳」
理屈は分かったが、理屈の問題ではなく、分からない。そんなことが現実にあるものなのか。
「はは、疑うなら、何でも私に問題出してみてよ。答えられないから」
「いや、そこ、胸張るとこじゃないけど」
予知夢なんてものが本当にあるのかどうか、そんなことはよく分からない。けれど、これまで「授業中は寝てるけど家でガリ勉して高得点出してる嫌なやつ」とばかり思っていた彼女へのイメージが激変したのは確かだ。
今度からは、テストの予想問題なんて買わないことにしよう。なんだか、それは友達にすることじゃない気がするから。
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