まとめ

 なんかここまでで2000文字を超えてしまって我ながら「おう……」となっているが、そろそろまとめにする。
 三つのテーマに分けて感想を書いてきたが、総括するなら「とんでもなく良かった」。語彙力ないな。
 温厚で飄々としているがいざとなると幽霊族の頑丈さや強さを生かした戦いができてしまうゲ父、格好良かった。また、怒り心頭に達しても我を忘れず冷静に、戦い方を局面によって分けられるのも良かった。これでこれから目玉親父を見る時に抱く感情が、「かわいいなあ」では済まされなくなってしまった。
 物語全体として、ただ面白いのでもただ怖いのでもなく、血族というどうしようもない呪いを背負う人間が気付かぬうちにそれにがんじがらめにされて傷つけ合い続ける、その業や悲しみを描いているのが良かった。沙代ちゃんは許されそうな気もするけれど誰より自分のことを許せなかったろうし、時弥君の奪われた未来の重さを考えると、本当に悲しくなる。
 しかし救われない物語の中、鬼太郎という希望がこの世に生まれ出てくれたことへの喜びが最後に描かれ、それが本当に鑑賞者にとっても救いとなった。ただ陰惨なだけではない、人間もよくあろうとすることでよくなっていくのだろう(時間がかかっても狂骨たちの怨念が晴れていったように)と思える、そしてそれが子供向けの説教くささで終わらない渋さでもって語られる、いい映画だった。水木しげる先生が見たらきっと喜ぶんじゃないかな。そう思った。
 昨晩書いた時はここで終わらせたのだが、今日の仕事中に「そういえば」と思い出したことがあったので追加しておく。「血液製剤M」のことだ。これはもう上映直後からみんな言っているように「疲労がポン」のアレそのもので(しかし本作品ではその材料・製法が現実とは異なる次元で最低であり且つ全ての元凶であった)、あの時代の暗部を表現している。私はこれに対するゲ父の態度が(水木しげるに通じるものを感じられるのもあって)とても好きだ。疲れを知らない不死身の体になって働くなんてアホらしい。その通りだよなと思う。せっかく獲得した自分の生を、楽しみから遠ざかるような生き方で消耗することの愚昧さを笑う、それはまさしく妖怪的な態度とも言えるのだが、そういう思考でありたいなと思う。
 まとめになっていないのは百も承知だが、とりあえず初めて見た感想はここまでとしたい。また今後、鑑賞する機会があるので(なくても作るので)、もしかしたら感想第二弾など書くかもしれない。
 とりあえず、行ったらもう売り切れていたパンフだけでも欲しい(特典など早々に無くなっていた)。
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