novelmber 2023

 妄想に取り憑かれた主人により増改築が重ねられた世界最大の個人邸は、むしろ計算されていたかのような些細なる衝撃で跡形もなく崩れ去った。
 それは、屋敷全体からすると僅かな、元々あった家の一間で起きた。
 主人の脳内のほぼ全てを占める今は亡き細君の霊が、そのとき初めて彼に微笑んだのだった。
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