novelmber 2023

 小舟の底で空を見上げている。太陽は雲に隠されてちょうどよい明るさだ。
 オールを使う男に声をかけると、陸地が遠くなったと聞かされた。
 確かに、随分と軽くなった気がするもの。
 男は微かに笑ったが、その顔色は悪い。私はもう黙ることにした。今この時ばかりは、私たちを縛り阻む者はないのだ。
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