happy end
カーテンの隙間から差し込む朝日が、大好きな人の顔を照らしているのを見つめる。自然に目が覚めて、彼のスマホのアラームが鳴るまでのこのひとときが、私の最近の宝物だ。
「……おはよう」
私の視線に気がついたのか、アラームが鳴る前に、ブラックは目を覚ました。目を瞑っているときは彫像のようだった顔が、私を視界に入れた途端、優しげに和らぐ。胸がきゅっと苦しくなって、私は慌てて同じ挨拶を返す。
「よく寝てたね」
「ああ。ホワイトと離れていた間はストレスで不眠症になりかけてたんだが、……今はぐっすり寝られてる。そう言うお前は、いつも起きるのが早いな。アラームもかけてないのに」
まだ少し眠そうな声で、ブラックが問う。
「私は……君が隣にいると思うと、嬉しくて……。寝ているのが勿体なくて、それですぐに目が覚めてしまうんだ」
私の言葉に、ブラックは目元を覆った。
「お前、そんなことよくさらっと言えるな……」
「え? 何かまずかったかな」
ブラックは暫くそのままじっとしていたけれど、やがて再び私を見て、笑った。
「そういうところが、ホワイトのいいところだけどな」
「えへへ。何だかよく分からないけれども、ありがとう」
起きた直後からこんな会話を交わせることの幸せが、私の日々を彩っている。
あの後、というのは私とブラックがお互いの気持ちを確かめ合った後、ということだが……あの後、寮長は再び私たちを元の部屋に戻してくれた。まさか改修工事なんか真っ赤な嘘だったとは思いもよらなかったけれど、こうしてまたふたりで過ごせるようになったので、もうそんなことはどうでもいい。
私とブラックは、また元のように仲の良いルームメイトに戻った。
……なんて。そんな訳がない。
「ホワイト」
着替えている最中に呼びかけられて、軽く振り返った……ところに、優しくキスされた。親愛のキスではない。
「……ん」
足りない。
離れようとしたその体を引き寄せて、今度は私の方から口付ける。ふたりとも、少し息が上がってしまうくらい、何度も。
食堂のチャイムが鳴り始める頃、ようやく体を離したブラックの顔は真っ赤だった。
「……ホワイト、お前な……」
「嬉しくて、つい」
よきルームメイトに戻ったわけではない。私たちは。それだけでは。
「ブラック、大好きだよ」
黒く深く、私を映す瞳を覗き込む。優しげに、それは笑む。
「……俺も、愛してる。ホワイト」
連れ立って、ドアを開ける。新しく、美しい一日がまた、始まろうとしている。
「……おはよう」
私の視線に気がついたのか、アラームが鳴る前に、ブラックは目を覚ました。目を瞑っているときは彫像のようだった顔が、私を視界に入れた途端、優しげに和らぐ。胸がきゅっと苦しくなって、私は慌てて同じ挨拶を返す。
「よく寝てたね」
「ああ。ホワイトと離れていた間はストレスで不眠症になりかけてたんだが、……今はぐっすり寝られてる。そう言うお前は、いつも起きるのが早いな。アラームもかけてないのに」
まだ少し眠そうな声で、ブラックが問う。
「私は……君が隣にいると思うと、嬉しくて……。寝ているのが勿体なくて、それですぐに目が覚めてしまうんだ」
私の言葉に、ブラックは目元を覆った。
「お前、そんなことよくさらっと言えるな……」
「え? 何かまずかったかな」
ブラックは暫くそのままじっとしていたけれど、やがて再び私を見て、笑った。
「そういうところが、ホワイトのいいところだけどな」
「えへへ。何だかよく分からないけれども、ありがとう」
起きた直後からこんな会話を交わせることの幸せが、私の日々を彩っている。
あの後、というのは私とブラックがお互いの気持ちを確かめ合った後、ということだが……あの後、寮長は再び私たちを元の部屋に戻してくれた。まさか改修工事なんか真っ赤な嘘だったとは思いもよらなかったけれど、こうしてまたふたりで過ごせるようになったので、もうそんなことはどうでもいい。
私とブラックは、また元のように仲の良いルームメイトに戻った。
……なんて。そんな訳がない。
「ホワイト」
着替えている最中に呼びかけられて、軽く振り返った……ところに、優しくキスされた。親愛のキスではない。
「……ん」
足りない。
離れようとしたその体を引き寄せて、今度は私の方から口付ける。ふたりとも、少し息が上がってしまうくらい、何度も。
食堂のチャイムが鳴り始める頃、ようやく体を離したブラックの顔は真っ赤だった。
「……ホワイト、お前な……」
「嬉しくて、つい」
よきルームメイトに戻ったわけではない。私たちは。それだけでは。
「ブラック、大好きだよ」
黒く深く、私を映す瞳を覗き込む。優しげに、それは笑む。
「……俺も、愛してる。ホワイト」
連れ立って、ドアを開ける。新しく、美しい一日がまた、始まろうとしている。
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