また来年

 母親三年目の親友と、社会人十数年目の私はお互い多忙で、最近は年に一度しか会えない。それが今年はたまたま七夕だった。
 楽しい時間はあっという間に過ぎ、私たちは店を出た。小雨が降っている。
洒涙雨さいるいうだ」
 彼女の言葉に、文学少女同士で語り合った日々が蘇る。
「そうだね。別れの涙だ」
 頬が濡れる。
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