永遠に届かない

 夏の宵、「あかり屋」の屋台が現れる。不思議に澄んだ音色の硝子笛を吹き鳴らして練り回り、近所の子供達が小銭を手に群がる。
 色彩豊かに陳列された駄菓子の間に「あかり」がある。ほのかに暖かく、ひと月ほど光り続けるその布の袋は、店の一番人気だ。
 今宵も子供達の手の中で、死んだ蛍が光っている。
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