風に乗って

 遠くまで歩ける足が欲しかった。なぜぼくらは歩けないのだろう。けれど仲間の答えはいつも同じ。
「我らに足は必要ないのだよ」
 そして今。ぼくは仲間達から離れ、風に乗っている。足のある動物には見られない景色の中、飛んでいる。
 そうか。ぼくはこのために。
 自分自身の根を強く張るために、遠くまで。
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