思い出の名残

 夏になると必ず、この縁側に座ってスイカを食べた。兄と妹と三人並んで、眩しい陽射しに向けて種を飛ばしあった。もちろん、母や父が座ることもあった。誰かの温度が、いつもそこにあった。
 今、この縁側に座るのは私だけだ。眩しい陽射しに向けて種を飛ばす。嘗ての温もりの名残が、まだここにある。
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