星の雫

 鍾乳洞の中は夏でもひんやりしている。微かな光が照らす足場を恐る恐る進む私に、先を行く先生が笑う。
「ほら、ご覧」
 見上げると、高い石灰石の天井から、幾つものつらら。
「あれ一本出来るのに、二万年ってとこかな」
 自分の小ささが、なんだか面白くなってくる。
 何万年分の一かの雫が私の頭に落ちた。
1/1ページ
スキ