Find me , break the time machine.
この場所、いや、この「時」には、誰もいない。何もいない。生きているもの、生命というものは。
ここは、全ての生命が死に絶えた後の世界だからだ。
「なんで、ここなの。もっと賑やかで、お金がなくても楽しめる時代と場所が、いくらでもあるのに」
そう。そういう場所は、本当にたくさんある。そんな夢みたいなこと、と思われていたのに、探してみると、そういう場所はたくさんあったことが判明していた。
私は首を振って、砂に指を突っ込んだ。暖かくも冷たくもなく、ただ私の指を受け入れるばかりの砂。かつては生命だったものたちの、名残りの砂を。
「静かだから」
親友は「ふうん」と頷いて、また海の向こうを見つめた。そうして暫くじっとしていたけれど、やがて口を開いた。
「それじゃあ、私は来ない方がよかったかな」
私は慌てて、大きく首を横に振った。
「そんなわけない」
振り向いた瞳の中の、決して凍らない時間の瞬きに、見惚れてしまう。
「そう。それならよかった」
タイムマシンが壊れてしまえばいいのに、なんて思ってしまう時がある。ピンク色の海を見ながら、ずっとこうやって、お互いの息遣いだけ聞いて過ごせたらいいのに、なんて。
「ねえ。海、入っちゃおうよ」
とっておきの思いつきのように、親友は私の耳元で囁いた。
「え。でもタオル持ってない」
「大丈夫だよ。乾かせば」
「そっか」
ピンク色の海は、生暖かく私たちの足首を包んだ。もう何物も生み出すことのない、ただ消えゆくばかりの最後の水が、私たちを受け入れて光った。帰る場所なんてないから、いつだってここが、私たちの帰る場所になる。どこに行っても、貴方はきっと私を見つけてくれるから。
タイムマシンが壊れてしまえばいいのにね、と親友が笑った。
ここは、全ての生命が死に絶えた後の世界だからだ。
「なんで、ここなの。もっと賑やかで、お金がなくても楽しめる時代と場所が、いくらでもあるのに」
そう。そういう場所は、本当にたくさんある。そんな夢みたいなこと、と思われていたのに、探してみると、そういう場所はたくさんあったことが判明していた。
私は首を振って、砂に指を突っ込んだ。暖かくも冷たくもなく、ただ私の指を受け入れるばかりの砂。かつては生命だったものたちの、名残りの砂を。
「静かだから」
親友は「ふうん」と頷いて、また海の向こうを見つめた。そうして暫くじっとしていたけれど、やがて口を開いた。
「それじゃあ、私は来ない方がよかったかな」
私は慌てて、大きく首を横に振った。
「そんなわけない」
振り向いた瞳の中の、決して凍らない時間の瞬きに、見惚れてしまう。
「そう。それならよかった」
タイムマシンが壊れてしまえばいいのに、なんて思ってしまう時がある。ピンク色の海を見ながら、ずっとこうやって、お互いの息遣いだけ聞いて過ごせたらいいのに、なんて。
「ねえ。海、入っちゃおうよ」
とっておきの思いつきのように、親友は私の耳元で囁いた。
「え。でもタオル持ってない」
「大丈夫だよ。乾かせば」
「そっか」
ピンク色の海は、生暖かく私たちの足首を包んだ。もう何物も生み出すことのない、ただ消えゆくばかりの最後の水が、私たちを受け入れて光った。帰る場所なんてないから、いつだってここが、私たちの帰る場所になる。どこに行っても、貴方はきっと私を見つけてくれるから。
タイムマシンが壊れてしまえばいいのにね、と親友が笑った。
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