「どうして、僕にそんなに優しくしてくれるんですか?」
 丸い、大きなくりくりっとした瞳で、上目遣いに俺を見ながら、その後輩は言った。
「どうして、って」
 俺は口ごもる。
「先輩は、いつも僕を助けてくれます。感謝しているんです」
「ああ……」
 俺は目をそらし、意味もなく頭を掻く。
「別に、理由なんてねーよ」
「そうなんですか?」
 後輩は、不思議そうに首をかしげた。
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