2022年

近づく春が恐ろしい。輝きを増す日光が、積もった雪の山を溶かしてしまうからだ。息耐えてなお私のネックレスを掴み離さなかったあの左手を、切り落とさなければよかった。吹雪の晩に雪はみるみる積もり、見失ったそれを回収することは、できず終いだ。貰えなかった指輪の代わりよ。彼女の幻が笑った。
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