名探偵VS事件代行人
数週間後の昼前、携帯電話が鳴った。寝ぼけ眼をこすりながら出ると、相手は予想通り、千年だった。ハイテンションな、それでいて静かな声が聞こえてくる。
『きゃっほーい、みすずちゃん! 今日はね、今日はね。すっごいことがあったんだよ! ビッグでジャンボな、大事件! 事件、事件』
「……そう。で、どんな?」
私は、その全貌を知りながら、問う。千年は先ほどまでよりも少し感情の入った、――嬉しそうな声で、言った。
『私の本当の父親だっていう人が、新しいお母さんと一緒に、うちに来たの!』
ああ、ちゃんとうまくいったのだな。
私はほっとして、――微笑んだ。
『みすずちゃん? 聞いてるっ?』
「ああ、……聞いてるよ」
先永遠の依頼は完遂された。と、いうことは。
「ごめんくださーい。先永美寿寿さんのお宅ですよね?」
正面玄関から、男性の声が聞こえる。
「△△運送のものですー。引越しのお手伝いに上がりました」
「はいはい。……それじゃあ千年、また後で掛けるから」
千年の賑やかな別れの言葉を聞いて、私は電話を置いた。
――もう、この屋敷とも、お別れだ。
『きゃっほーい、みすずちゃん! 今日はね、今日はね。すっごいことがあったんだよ! ビッグでジャンボな、大事件! 事件、事件』
「……そう。で、どんな?」
私は、その全貌を知りながら、問う。千年は先ほどまでよりも少し感情の入った、――嬉しそうな声で、言った。
『私の本当の父親だっていう人が、新しいお母さんと一緒に、うちに来たの!』
ああ、ちゃんとうまくいったのだな。
私はほっとして、――微笑んだ。
『みすずちゃん? 聞いてるっ?』
「ああ、……聞いてるよ」
先永遠の依頼は完遂された。と、いうことは。
「ごめんくださーい。先永美寿寿さんのお宅ですよね?」
正面玄関から、男性の声が聞こえる。
「△△運送のものですー。引越しのお手伝いに上がりました」
「はいはい。……それじゃあ千年、また後で掛けるから」
千年の賑やかな別れの言葉を聞いて、私は電話を置いた。
――もう、この屋敷とも、お別れだ。