悪魔のお気に入り
「お兄様! 新しくできたお化け屋敷に行くって本当!?」
学校から帰宅するなり尋ねてきたダイアナに、俺は首を振った。
「行かない」
「嘘ね」
ダイアナは不敵に微笑む。ちょっと使い魔らしい表情だが、使い所を間違えている。
「あのなあ……行くと言えば行くが、俺は正規ルートでお楽しみに行くわけじゃないんだぜ」
「あら、そうなの」
連れて行ってとねだろうとしていたのだろう。ぴょんぴょんとジャンプしていたダイアナは、おとなしくなった。
「それなら、お仕事で行くの?」
「まあ、そんなところだ」
最近できた体験型のお化け屋敷は、元々そこに建っていた廃工場を改造して作られたらしい。でかいお化け屋敷は昔から人気で、特に今のようなハロウィンシーズンには即席の興行も多い。普通なら、扮装した人間が人間を驚かせるイベントになど、用事はない。悪魔はそんなに暇ではないのだ。
だが今回は、そうも言っていられない。何者かが不穏な動きをしているという情報が入っている。それが人間なのか、それとも同業者なのかはまだ判然としないが……しかし、あのお化け屋敷のある区域は、俺の縄張りだ。そこで何か下手を打たれようものなら、俺まで巻き添えを食うことになる。
だから、オープン初日に潜入して探る。汚れた魂を手に入れる見込みもない、つまらない調査だが、何もせず済ませるわけにもいかない。
「そう。それなら仕方ないわね。今度マツリカを誘って行くことにするわ」
ダイアナは案外あっさり諦めたようだ。ホッとして仕事に戻ろうとすると、「お土産よろしくね!」という声が聞こえて笑ってしまった。
学校から帰宅するなり尋ねてきたダイアナに、俺は首を振った。
「行かない」
「嘘ね」
ダイアナは不敵に微笑む。ちょっと使い魔らしい表情だが、使い所を間違えている。
「あのなあ……行くと言えば行くが、俺は正規ルートでお楽しみに行くわけじゃないんだぜ」
「あら、そうなの」
連れて行ってとねだろうとしていたのだろう。ぴょんぴょんとジャンプしていたダイアナは、おとなしくなった。
「それなら、お仕事で行くの?」
「まあ、そんなところだ」
最近できた体験型のお化け屋敷は、元々そこに建っていた廃工場を改造して作られたらしい。でかいお化け屋敷は昔から人気で、特に今のようなハロウィンシーズンには即席の興行も多い。普通なら、扮装した人間が人間を驚かせるイベントになど、用事はない。悪魔はそんなに暇ではないのだ。
だが今回は、そうも言っていられない。何者かが不穏な動きをしているという情報が入っている。それが人間なのか、それとも同業者なのかはまだ判然としないが……しかし、あのお化け屋敷のある区域は、俺の縄張りだ。そこで何か下手を打たれようものなら、俺まで巻き添えを食うことになる。
だから、オープン初日に潜入して探る。汚れた魂を手に入れる見込みもない、つまらない調査だが、何もせず済ませるわけにもいかない。
「そう。それなら仕方ないわね。今度マツリカを誘って行くことにするわ」
ダイアナは案外あっさり諦めたようだ。ホッとして仕事に戻ろうとすると、「お土産よろしくね!」という声が聞こえて笑ってしまった。