切々端々《きれぎれはしばし》
最近読んだ本について
2024/01/26 22:45 そして最近読んだ本について。感想を記憶に残しておきたいのでこちらをお借りします。
・『ロシア史 キエフ大公国からウクライナ侵攻まで (だからわかるシリーズ) 』 監修:祝田秀全
『小説以外にも読書の幅を広げたい』という目標に沿って選んだもの。詳細な地図、分かりやすい地理の解説、そこから導かれるロシアの国民性や支配体制に基づいて、ロシアがこれまで辿ってきた歴史について分かりやすく解説している本。ウクライナ侵攻がなぜ起こったのか、なぜロシアはウクライナに固執するのかについても、理解しやすい説明が記されていた。
1つ目は交易上の理由。海が凍り、陸路は吹雪く。極寒の地であるがゆえに、ロシアは長年、一年中安定した交易ができない。ゆえに『凍らない海』である黒海に面したウクライナを狙っている。
2つ目は『緩衝地帯』を手に入れるため。ロシアは起伏の少ない土地柄から、幾度となく敵国に攻め入られた歴史がある。そのため他国に侵攻されないよう『緩衝地帯』(=つまりは盾)として、隣りあう国を自分の勢力に引き入れていたいという思惑を常々抱いているらしい。しかし、EUやNATOといったライバルたちが勢力を広げ、ロシアの『緩衝地帯』は随分と薄くなってしまった。
そうしたライバルたちに、ウクライナまで取られてしまうわけにはいかない。ゆえに、取られる前に自分たちのものにしてしまおうと、現在起こっている侵攻に繋がったというわけ。
ずいぶんとざっくりになってしまったが、私の理解はこんなところだ。
今の世界情勢に繋がる背景が分かったほか、ロシアの歴史に関しても知ることができたので読んで良かったと思う。
また、地理と歴史を組み合わせることで、そこに生きた人たちの姿を思い描きながら歴史を読み解けたのが面白かった。
世界史も、そうした視点が持てたのならば面白く覚えられるかもしれない。学生時代、世界史にそこまで興味はなかったのだけれど、もう一度チャレンジしてみようか。
それにしてもロシアといい、中国といい、広い領土を持つ国というのは、どうしてかカリスマ的かつ過激な指導者を求める傾向にある気がする。国土が広い分、敵にも攻め込まれやすいので、そうした侵略者たちを徹底的に排除するような指導者が好まれやすいのだろうか。
・悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書) 著:
仲正 昌樹
かつてユダヤ人大量虐殺を実行したナチス・ドイツの暴走。その原因を見つめ続けた哲学者ハンナ・アーレントの著作『全体主義の起源』をかみ砕いて説明した本。再読希望。
『一つの目標に向かって団結した人間たちほど恐ろしいものはない』というのが感想だった。
『大勢で何かを成し遂げる』という物語は素晴らしいものとして扱われるけれど、本書を読むとその印象がガラリと変わる。
例えば成し遂げる『何か』が『邪魔者の排除』だった場合、人間はその『邪魔者』が人の形を持ち、自分と同じ言葉を喋っていたとしても、平然と「自分には関係がないもの」と無感情に、機械的に切り捨てたり、踏みにじることができるのだ。
この傾向は大勢の数が多ければ多いほど高くなり、大衆が一つの思想に染まる恐ろしさを伝えていた。(語彙力がなく、本書の魅力を伝えきれることができない。悔しい)
人間の善性というものがどれだけ儚く、また単一の思想に染まった大衆がどれほど簡単に──さながら、古びたつり橋を大勢で渡るかのごとく──道を踏み外してしまうのか。を目の前に突きつけられた気がした。
……なんというか、今のXでいう「炎上」に近いところがありますよね。問題になるツイートが出てくると、「俺とお前は違う」→「そしてお前は間違っている。俺は正しいほうの人間だ」→「だから何をしてもいい」っていう心の流れが大勢の人に起こって、予測できないような大事に発展するケース。
そうした愚かしさに巻き込まれないための心構えとして、自分とは違う対立意見も受け止めるようにしようと著者は提案していた。頭ごなしに否定するのではなく、相手がその意見に至った理由を把握した上で話し合うように。(アーレントの言葉に置き換えるなら、「複数性を尊重する」)
否定的な意見や自分とは反対の意見に遭遇すると『私、もしかして間違ってるかな?』とか、『え……なんか皆と違う』とか思ってめちゃくちゃに不安になったり、白黒思考に囚われやすい私にとっては、とても耳が痛い忠言だった。
あなたはあなた、私は私。
そういうふうに、自分とは違う場所に立っている人たちを、尊重できるようになりたい。
……余談だけれど、Momentの夢主🌙はこの本が好きだろうな。
最近読んだ本はこんなところ。2冊しか読めてないので、もう1冊は何か読みたいです。
・『ロシア史 キエフ大公国からウクライナ侵攻まで (だからわかるシリーズ) 』 監修:祝田秀全
『小説以外にも読書の幅を広げたい』という目標に沿って選んだもの。詳細な地図、分かりやすい地理の解説、そこから導かれるロシアの国民性や支配体制に基づいて、ロシアがこれまで辿ってきた歴史について分かりやすく解説している本。ウクライナ侵攻がなぜ起こったのか、なぜロシアはウクライナに固執するのかについても、理解しやすい説明が記されていた。
1つ目は交易上の理由。海が凍り、陸路は吹雪く。極寒の地であるがゆえに、ロシアは長年、一年中安定した交易ができない。ゆえに『凍らない海』である黒海に面したウクライナを狙っている。
2つ目は『緩衝地帯』を手に入れるため。ロシアは起伏の少ない土地柄から、幾度となく敵国に攻め入られた歴史がある。そのため他国に侵攻されないよう『緩衝地帯』(=つまりは盾)として、隣りあう国を自分の勢力に引き入れていたいという思惑を常々抱いているらしい。しかし、EUやNATOといったライバルたちが勢力を広げ、ロシアの『緩衝地帯』は随分と薄くなってしまった。
そうしたライバルたちに、ウクライナまで取られてしまうわけにはいかない。ゆえに、取られる前に自分たちのものにしてしまおうと、現在起こっている侵攻に繋がったというわけ。
ずいぶんとざっくりになってしまったが、私の理解はこんなところだ。
今の世界情勢に繋がる背景が分かったほか、ロシアの歴史に関しても知ることができたので読んで良かったと思う。
また、地理と歴史を組み合わせることで、そこに生きた人たちの姿を思い描きながら歴史を読み解けたのが面白かった。
世界史も、そうした視点が持てたのならば面白く覚えられるかもしれない。学生時代、世界史にそこまで興味はなかったのだけれど、もう一度チャレンジしてみようか。
それにしてもロシアといい、中国といい、広い領土を持つ国というのは、どうしてかカリスマ的かつ過激な指導者を求める傾向にある気がする。国土が広い分、敵にも攻め込まれやすいので、そうした侵略者たちを徹底的に排除するような指導者が好まれやすいのだろうか。
・悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書) 著:
仲正 昌樹
かつてユダヤ人大量虐殺を実行したナチス・ドイツの暴走。その原因を見つめ続けた哲学者ハンナ・アーレントの著作『全体主義の起源』をかみ砕いて説明した本。再読希望。
『一つの目標に向かって団結した人間たちほど恐ろしいものはない』というのが感想だった。
『大勢で何かを成し遂げる』という物語は素晴らしいものとして扱われるけれど、本書を読むとその印象がガラリと変わる。
例えば成し遂げる『何か』が『邪魔者の排除』だった場合、人間はその『邪魔者』が人の形を持ち、自分と同じ言葉を喋っていたとしても、平然と「自分には関係がないもの」と無感情に、機械的に切り捨てたり、踏みにじることができるのだ。
この傾向は大勢の数が多ければ多いほど高くなり、大衆が一つの思想に染まる恐ろしさを伝えていた。(語彙力がなく、本書の魅力を伝えきれることができない。悔しい)
人間の善性というものがどれだけ儚く、また単一の思想に染まった大衆がどれほど簡単に──さながら、古びたつり橋を大勢で渡るかのごとく──道を踏み外してしまうのか。を目の前に突きつけられた気がした。
……なんというか、今のXでいう「炎上」に近いところがありますよね。問題になるツイートが出てくると、「俺とお前は違う」→「そしてお前は間違っている。俺は正しいほうの人間だ」→「だから何をしてもいい」っていう心の流れが大勢の人に起こって、予測できないような大事に発展するケース。
そうした愚かしさに巻き込まれないための心構えとして、自分とは違う対立意見も受け止めるようにしようと著者は提案していた。頭ごなしに否定するのではなく、相手がその意見に至った理由を把握した上で話し合うように。(アーレントの言葉に置き換えるなら、「複数性を尊重する」)
否定的な意見や自分とは反対の意見に遭遇すると『私、もしかして間違ってるかな?』とか、『え……なんか皆と違う』とか思ってめちゃくちゃに不安になったり、白黒思考に囚われやすい私にとっては、とても耳が痛い忠言だった。
あなたはあなた、私は私。
そういうふうに、自分とは違う場所に立っている人たちを、尊重できるようになりたい。
……余談だけれど、Momentの夢主🌙はこの本が好きだろうな。
最近読んだ本はこんなところ。2冊しか読めてないので、もう1冊は何か読みたいです。