製作裏話

「Lotus in the mud(クリスマス編)」の裏話

2023/01/14 13:56
 こんにちは。佐都です。
 ご閲覧いただきありがとうございます。

 こたつに入りながら食べた蜜柑に、「忽ち心を躍らすばかり暖な日の色に染まつてゐる蜜柑」という一文が染み入るこの頃です。
 元ネタは芥川龍之介先生による短編小説「蜜柑」。あのエゴの強烈な作品ばかりを生み出した芥川先生にしては爽やかな最後を迎える作品です。必ず佐都が冬に読み返したくなる作品。

 あの陰鬱な灰色かセピア色のぼやけた世界に、太陽みたいに輝くミカンが緩やかに落ちていく光景がリアルに思い浮かんだときの感動を佐都はいまだに覚えています。

 今回は「ギフト」の裏話。クリスマスに陽介の贈り物をする夢主のお話。
 気軽にネタバレをしていきますので、作品をお読みになったほうが楽しめるかと存じます。
それではどうぞ。




=====<ネタバレ防止の切り取り線>=====




 執筆動機は「小西先輩と夢主の関わりを書きたい」&「夢主は陽介をどう思っているのか書きたい」です。でした。けど、シリアス気味になりましたね。
 私にとっては、夢主が陽介にプレゼントをあげるシーンと、サンタ帽をかぶって瀬名家を訪れる陽介は書いていて癒しでした。陽介は癒し。はっきりわかんだね。

 タイトルは夢主にとって、陽介がどんな存在なのか。夢主は陽介を天から落ちてきた贈り物のような人だと思っています。

 前回のデートとは一転して、シリアス。温度差で私の内なるグッピーくんが湖面に召されました。ごめんねグッピーくん……。きみの犠牲は、忘れないから……。

 小西先輩と夢主の関係がすごく、生々しかったです。こんな生々しくなるとは、思ってなかったんですよ……?? (佐都が一番唖然としている) お前(佐都)、2次元に住んでいる登場人物たちと甘酸っぱい恋愛に興じるのが醍醐味の夢小説でなんてものを書いてるんだ。

 それで、夢主になんで小西先輩が会いにきたのか。分かりづらかったでしょうから解説を添えさせていただきます。
 簡単に言えば「陽介の仲の良い友達がどんな人間か、気になったから」。
 本編や公式外伝でも、小西先輩って「似た境遇にある陽介に同情している」とされているんですよね。
 けど、拙作では違います。境遇さえ似てこそいれど、陽介には夢主という心を許せる友達が居ますし、その友達から得た情報などを、社交的な陽介はバイトにて(友達が誰かは伏せていても)話してしまったのだと思います。
 ゆえに、小西先輩が持ち得ない(12月あたりに「すっごくいい子」と評してる女生徒はいましたが)、仲の良い友達について気になった小西先輩は、陽介の友達がいるという屋上を訪れたのだと思います。

 夢主が陽介にプレゼントした絹手袋は、本当に手荒れに効果があるそう。寝るときに使うと、荒れた手を手袋が保湿して傷が治りやすくしてくれるそうです。傷の保湿は大切。
 ところで女性から男性に手袋を送る場合って「私を捕まえて」ってメッセージがあるそうです。残念ながら夢主は一切、知りません。ただ、陽介の手荒れを治したかっただけ。

 普段は陽介視点の三人称単元視点で描かれている拙作ですが、今回は夢主の視点でしたね。
 描きながら、佐都は夢主に対して「ハチャメチャに情念の人や……」と思っておりました。陽介も(ありがたいことに)夢主を大切に思ってくれてはいますが、夢主はその数倍重い……。めちゃくちゃに重い……。
 そもそも小西先輩から「気にかけてやって」って言われて、「花村がどうかしましたか?」ではなく「『何か』あったんですか?」って……。
 色々と型破りすぎる夢主さんです。

 なんだか佐都が描く夢主は、大抵情念の人になる気がします。「残り香」しかり、「Lotus in the mud」しかり。

 夢主が人を避ける理由が、ただの怠惰(人付き合いが面倒)だけではないと読み取って頂けたなら幸いです。

それでは、今回はここまで! お読みくださってありがとうございました!

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