桜の花が咲く頃に
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「なぁ、陽介」
瑞月は指輪を外して、陽介の掌に置いた。その手を、彼女は両手で包み込む。水面に落ちた花ひとつを欠けずに掬い上げるように。蜜を含んだ眼差しが、陽介を正面から捉えた。
「改めて、陽介が渡したい場所で私に贈ってくれないか。どうして、そのリングを選んだのか。理由も聞かせてくれると、うれしいなぁ」
ふわりと、彼女は微笑んだ。彼女の表情はあまりに自然だ。陽介の行動に白けた様子は見受けられない。
「……がっかりしてないのか?」
「どうして?陽介が心を込めて贈ってくれるものだろう。ガッカリどころか、むしろ楽しみが増えたとも。いったいどんな場所で、どんな言葉で、おまえさまがその指輪を贈ってくれるのか————」
わたしは、とてもワクワクしているよ。
紺碧の瞳に桜が浮かぶ。陽介の想いを受けて、生まれた花びらがこまやかにきらめく。
陽介は笑う。待ちわびた日の光を浴びて、やっと開いた大輪の花のように。
「ちゃんと渡すから。そんで、話すから。俺が、このリングを選んだ理由も、ぜんぶ、ぜんぶ」
格好がつかなくても、みっともなくても、必ずと。
必死で告げる陽介に、瑞月はしかと頷いた。
瑞月は指輪を外して、陽介の掌に置いた。その手を、彼女は両手で包み込む。水面に落ちた花ひとつを欠けずに掬い上げるように。蜜を含んだ眼差しが、陽介を正面から捉えた。
「改めて、陽介が渡したい場所で私に贈ってくれないか。どうして、そのリングを選んだのか。理由も聞かせてくれると、うれしいなぁ」
ふわりと、彼女は微笑んだ。彼女の表情はあまりに自然だ。陽介の行動に白けた様子は見受けられない。
「……がっかりしてないのか?」
「どうして?陽介が心を込めて贈ってくれるものだろう。ガッカリどころか、むしろ楽しみが増えたとも。いったいどんな場所で、どんな言葉で、おまえさまがその指輪を贈ってくれるのか————」
わたしは、とてもワクワクしているよ。
紺碧の瞳に桜が浮かぶ。陽介の想いを受けて、生まれた花びらがこまやかにきらめく。
陽介は笑う。待ちわびた日の光を浴びて、やっと開いた大輪の花のように。
「ちゃんと渡すから。そんで、話すから。俺が、このリングを選んだ理由も、ぜんぶ、ぜんぶ」
格好がつかなくても、みっともなくても、必ずと。
必死で告げる陽介に、瑞月はしかと頷いた。