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瀬名瑞月と花村陽介の付き合いは、2年と半年。恋人になったのは、1年と数か月前の話になる。
けれど、恋人らしい時間を彼女と過ごせたかというと、陽介は首を落とすしかない。
陽介は高校3年生で、先日無事に第一志望校に合格した。志望者も多く、偏差値も高い大学であったため、アルバイトや他もろもろに時間を取られる機会が多く、なおかつ平凡な学力であった陽介にとっては偉業だ。遠く夢みた月の大地に降り立つほどの、長い旅路でもあった。
しかしどんな偉業であっても、叶えようと努力を続けない限り達成することはない。人によっては大木のように揺るぎない精神で目標の地へとたどり着くのだろう。
けれども悲しいほどに、陽介は凡人だった。人並みの精神力である陽介が元の学力よりも高い大学に合格できたのは、教師や両親、親しい人たちといった周りの支えがあったからこそであった。
中でも恋人である瑞月の献身は大きかった。自身も大学受験を控えているにも関わらず、彼女は陽介の受験勉強に協力してくれた。
自身の成績に愕然とする陽介から模試の結果をひったくり、志望校の合格条件を踏まえた最適な試験対策を陽介に提案してきた。合格から逆算した大学試験のスケジュールは陽介と瑞月が一緒に考えたものだ。
親友とともに、定期的に陽介の勉強を見てくれた瑞月には本当に感謝している。成績で伸び悩む陽介に、瑞月は手を尽くしてモチベーションを維持させてくれた。
『おまえさまが合格したら、2人で好きなところを訪ねて羽根を伸ばそう』
瑞月は曇りなき瞳で、そう笑ってくれた。
教師にすら目を合わせることをためらわれた陽介の合格を、瑞月は言葉であろうと行動であろうと、一度として疑問を抱いたことはなかった。
いや、あったとしても、陽介が不安にならないように表に出さなかったのだろう。でなければ、陽介の弱点を的確に突いた試験対策など、考えられるはずがない。
不安も飲み込んだうえで、瑞月は一心に陽介を信じると決めたのだ。
瑞月の献身は、確かに陽介の結果となって花開いた。しかしそれは、瑞月との時間を苗床にしたといっても過言ではない。
陽介と恋人として過ごせる時間を、瑞月は陽介のために差し出してくれたのである。どのような偉業にも犠牲は付き物だとしても、陽介には瑞月に負担をかけてしまった事実が申し訳なかった。
けれど、恋人らしい時間を彼女と過ごせたかというと、陽介は首を落とすしかない。
陽介は高校3年生で、先日無事に第一志望校に合格した。志望者も多く、偏差値も高い大学であったため、アルバイトや他もろもろに時間を取られる機会が多く、なおかつ平凡な学力であった陽介にとっては偉業だ。遠く夢みた月の大地に降り立つほどの、長い旅路でもあった。
しかしどんな偉業であっても、叶えようと努力を続けない限り達成することはない。人によっては大木のように揺るぎない精神で目標の地へとたどり着くのだろう。
けれども悲しいほどに、陽介は凡人だった。人並みの精神力である陽介が元の学力よりも高い大学に合格できたのは、教師や両親、親しい人たちといった周りの支えがあったからこそであった。
中でも恋人である瑞月の献身は大きかった。自身も大学受験を控えているにも関わらず、彼女は陽介の受験勉強に協力してくれた。
自身の成績に愕然とする陽介から模試の結果をひったくり、志望校の合格条件を踏まえた最適な試験対策を陽介に提案してきた。合格から逆算した大学試験のスケジュールは陽介と瑞月が一緒に考えたものだ。
親友とともに、定期的に陽介の勉強を見てくれた瑞月には本当に感謝している。成績で伸び悩む陽介に、瑞月は手を尽くしてモチベーションを維持させてくれた。
『おまえさまが合格したら、2人で好きなところを訪ねて羽根を伸ばそう』
瑞月は曇りなき瞳で、そう笑ってくれた。
教師にすら目を合わせることをためらわれた陽介の合格を、瑞月は言葉であろうと行動であろうと、一度として疑問を抱いたことはなかった。
いや、あったとしても、陽介が不安にならないように表に出さなかったのだろう。でなければ、陽介の弱点を的確に突いた試験対策など、考えられるはずがない。
不安も飲み込んだうえで、瑞月は一心に陽介を信じると決めたのだ。
瑞月の献身は、確かに陽介の結果となって花開いた。しかしそれは、瑞月との時間を苗床にしたといっても過言ではない。
陽介と恋人として過ごせる時間を、瑞月は陽介のために差し出してくれたのである。どのような偉業にも犠牲は付き物だとしても、陽介には瑞月に負担をかけてしまった事実が申し訳なかった。