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(家のこともあるから、お互いにもう会わないとおもっていたのだがなぁ……)
予感とは当てにならないものだ。と瑞月は心の中で独りごちる。小西先輩はというと、瑞月には注目せず、彼女の奥にあるレジャーシートと荷物に目を向けている。
「瀬名さんはこんなところで何してたの?」
「休憩です。教室だとうるさいので、こうやって屋上で過ごしています」
「ふーん、なんかそういう、一人がダイジョブな感じ、瀬名さんらしいね」
「そうおっしゃる小西先輩はなぜこちらに?」
「うーん、散歩かな。天気がいいから出てみようかなーなんて」
建前だな。と瑞月は思う。小西先輩にとって、瑞月はそれほど親しくない相手だ。むしろ、会いたくないすらあり得るだろう。収束したとはいえ、家を巻き込んだ諍いの相手であり、彼女に非はないのに謝らなければいけなかった相手。それが瑞月なのだから。
ちなみに、瑞月としては小西先輩に悪感情はない。むしろ、家族が起こした問題に対して頭を下げた度胸と行動に移るまでの迷いの無さには舌を巻いた。家の長女という立場では、共感もしている。つまり、瑞月にとって小西先輩は悪い人間ではなかった。
だが、自分が相手を悪く思っていない=相手も自分をよく思っている。という等式は必ずしも成立しないのである。悪感情を抱いている場合も十分にある。しかも、小西先輩と瑞月の複雑な関わりを加味すれば、その可能性は十分にあり得た。
必要がなければ、話したくすらないだろう。
逆を言えば、瑞月と話す必要があったから話しかけざるを得なかったとも言える。
ゆえに瑞月は、小西先輩を警戒していた。
「散歩ならば、校庭もおすすめしますよ。風が吹くと葉が擦れる音がして癒されます」
「瀬名さんって、なんかお年寄りっぽいね。葉が擦れる音って……」
「そうですね。友人からもよく言われます。いかがですか」
「うーん、私はいいかなぁ。今の時期は寒いし」
「それなら、こちらだって寒いでしょうに。ますますどうしていらしたんです?」
瑞月の疑問に、小西先輩は唇に人差し指を当てて考え始めた。間をおかずに、小西先輩は瑞月に笑いかける。彼女のつぶらな瞳には、どこかいたずらっぽい輝きがあった。
「バイト先の後輩がね、ここが好きなんだって」
「後輩、ですか?」
「うん。ここにいると空がすごく広く見えて、悩んでることとか全部忘れられるって言ってた。それに、気楽に話せる友達がいて楽しいって」
瑞月は言葉を忘れる。同時に、意識せずに深く息を吐き出した。小西先輩にとって、バイト先の後輩で、昼休みの屋上に友達を持つ人物なんて、一人しかいない。
「瀬名さん、1年の『花村』って男子生徒、知ってる? そいつ、私の後輩なの」
「知ってるもなにも、友人ですが。『花村陽介』でしょう」
小西先輩が、一瞬眉をあげる。しかしすぐ、納得したように微笑を浮かべた。
「そっかー。花ちゃんの友達って瀬名さんだったんだ。ちょっと驚いたけど、以外と相性いいかもね。どっちもいい子だし、面倒見いいしね」
「相性?」
「一緒にいる相性。瀬名さんって揺るぎない感じだからさ。お人好しで、イロイロふらつくアイツと一緒にいたらちょうどいいかなって」
「……花村に、何かあったんですか?」
思わず、瑞月の声が険を帯びたものになる。突如として纏う空気を変えた瑞月に、小西先輩がたじろいだ。しかし、瑞月にとっては陽介と比べる間でもなく些細な事だ。
予感とは当てにならないものだ。と瑞月は心の中で独りごちる。小西先輩はというと、瑞月には注目せず、彼女の奥にあるレジャーシートと荷物に目を向けている。
「瀬名さんはこんなところで何してたの?」
「休憩です。教室だとうるさいので、こうやって屋上で過ごしています」
「ふーん、なんかそういう、一人がダイジョブな感じ、瀬名さんらしいね」
「そうおっしゃる小西先輩はなぜこちらに?」
「うーん、散歩かな。天気がいいから出てみようかなーなんて」
建前だな。と瑞月は思う。小西先輩にとって、瑞月はそれほど親しくない相手だ。むしろ、会いたくないすらあり得るだろう。収束したとはいえ、家を巻き込んだ諍いの相手であり、彼女に非はないのに謝らなければいけなかった相手。それが瑞月なのだから。
ちなみに、瑞月としては小西先輩に悪感情はない。むしろ、家族が起こした問題に対して頭を下げた度胸と行動に移るまでの迷いの無さには舌を巻いた。家の長女という立場では、共感もしている。つまり、瑞月にとって小西先輩は悪い人間ではなかった。
だが、自分が相手を悪く思っていない=相手も自分をよく思っている。という等式は必ずしも成立しないのである。悪感情を抱いている場合も十分にある。しかも、小西先輩と瑞月の複雑な関わりを加味すれば、その可能性は十分にあり得た。
必要がなければ、話したくすらないだろう。
逆を言えば、瑞月と話す必要があったから話しかけざるを得なかったとも言える。
ゆえに瑞月は、小西先輩を警戒していた。
「散歩ならば、校庭もおすすめしますよ。風が吹くと葉が擦れる音がして癒されます」
「瀬名さんって、なんかお年寄りっぽいね。葉が擦れる音って……」
「そうですね。友人からもよく言われます。いかがですか」
「うーん、私はいいかなぁ。今の時期は寒いし」
「それなら、こちらだって寒いでしょうに。ますますどうしていらしたんです?」
瑞月の疑問に、小西先輩は唇に人差し指を当てて考え始めた。間をおかずに、小西先輩は瑞月に笑いかける。彼女のつぶらな瞳には、どこかいたずらっぽい輝きがあった。
「バイト先の後輩がね、ここが好きなんだって」
「後輩、ですか?」
「うん。ここにいると空がすごく広く見えて、悩んでることとか全部忘れられるって言ってた。それに、気楽に話せる友達がいて楽しいって」
瑞月は言葉を忘れる。同時に、意識せずに深く息を吐き出した。小西先輩にとって、バイト先の後輩で、昼休みの屋上に友達を持つ人物なんて、一人しかいない。
「瀬名さん、1年の『花村』って男子生徒、知ってる? そいつ、私の後輩なの」
「知ってるもなにも、友人ですが。『花村陽介』でしょう」
小西先輩が、一瞬眉をあげる。しかしすぐ、納得したように微笑を浮かべた。
「そっかー。花ちゃんの友達って瀬名さんだったんだ。ちょっと驚いたけど、以外と相性いいかもね。どっちもいい子だし、面倒見いいしね」
「相性?」
「一緒にいる相性。瀬名さんって揺るぎない感じだからさ。お人好しで、イロイロふらつくアイツと一緒にいたらちょうどいいかなって」
「……花村に、何かあったんですか?」
思わず、瑞月の声が険を帯びたものになる。突如として纏う空気を変えた瑞月に、小西先輩がたじろいだ。しかし、瑞月にとっては陽介と比べる間でもなく些細な事だ。