初恋と相談
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小西先輩とジュネスで再会して、数日後のことだ。
その日、陽介は職場の厄介な八校生アルバイターに絡まれていた。要件はよく覚えていない。シフトの変更とかで『ジュネス店長の息子』である陽介に詰め寄ってきたのだったか。
だが、当の陽介だってただのアルバイトだ。シフト変更の権限なんてないし、日程的に無理があった。
それを説明したのだが、思い通りにならないアルバイターは八つ当たりのごとく怒りだしたのだ。
『店長の息子のくせに』と、アルバイターは吐き捨てた。
ぐっと、刺々しい理不尽を陽介は飲み込もうとした。そのとき、小西先輩が割って入ったのだ。
『そこまで。アンタこんなところで長話していいの? 休憩終わっちゃうよ』
『急がないといけないなら、チーフに相談したほうがいいよ。今出てない人たちにも声かけてシフト変わってくれる人、見つけてくれるかもしれないでしょ』
『そのためには、ちゃんとチーフに働いてるとこ見せなきゃね。ほら、行った行った』
突っかかっていたアルバイターを、小西先輩は穏やかに遠ざけてくれた。面倒に巻き込んだというのに、彼女は愚痴を言わなかった。 それどころか、お礼を言おうとした陽介に、彼女は親しみやすく、朗らかに、笑いかけた。
『親は親、キミはキミでしょ。店長には店長のやることがあるし、花ちゃんには花ちゃんのやることがある。花ちゃんはそれをキチンとこなしてるんだから、クヨクヨすんなよ?』
その言葉を聞いた瞬間、陽介はすっと身体が軽くなった気がした。身体にきつく巻き付いた糸のような息苦しい束縛感から、ほんの少し解放されたように思えた。
────ああ、そうか。
陽介の中ですとんと答えが出た。陽介はどうしようもなく、小西先輩が好きなのだ。瑞月が示した陽介自身の立場とか、彼女の父親について考えたとしても、押し殺したくないと思ってしまうほどに。
面倒見が良くて、口は悪いけど優しくて、仕事へと真面目に取り組む小西早紀という女性が──陽介は心から好きなのだ。
まさか、友達とのケンカについて相談をしたら、小西先輩が好きだとはっきり気が付くなんて思わなかった。
「ところで花ちゃんって、ケンカした友達のコト、気になってるの?」
「は?」
今しがた、捨てられない恋心を自覚した陽介など知らない様子で、小西先輩は興味津々に尋ねてきた。
その日、陽介は職場の厄介な八校生アルバイターに絡まれていた。要件はよく覚えていない。シフトの変更とかで『ジュネス店長の息子』である陽介に詰め寄ってきたのだったか。
だが、当の陽介だってただのアルバイトだ。シフト変更の権限なんてないし、日程的に無理があった。
それを説明したのだが、思い通りにならないアルバイターは八つ当たりのごとく怒りだしたのだ。
『店長の息子のくせに』と、アルバイターは吐き捨てた。
ぐっと、刺々しい理不尽を陽介は飲み込もうとした。そのとき、小西先輩が割って入ったのだ。
『そこまで。アンタこんなところで長話していいの? 休憩終わっちゃうよ』
『急がないといけないなら、チーフに相談したほうがいいよ。今出てない人たちにも声かけてシフト変わってくれる人、見つけてくれるかもしれないでしょ』
『そのためには、ちゃんとチーフに働いてるとこ見せなきゃね。ほら、行った行った』
突っかかっていたアルバイターを、小西先輩は穏やかに遠ざけてくれた。面倒に巻き込んだというのに、彼女は愚痴を言わなかった。 それどころか、お礼を言おうとした陽介に、彼女は親しみやすく、朗らかに、笑いかけた。
『親は親、キミはキミでしょ。店長には店長のやることがあるし、花ちゃんには花ちゃんのやることがある。花ちゃんはそれをキチンとこなしてるんだから、クヨクヨすんなよ?』
その言葉を聞いた瞬間、陽介はすっと身体が軽くなった気がした。身体にきつく巻き付いた糸のような息苦しい束縛感から、ほんの少し解放されたように思えた。
────ああ、そうか。
陽介の中ですとんと答えが出た。陽介はどうしようもなく、小西先輩が好きなのだ。瑞月が示した陽介自身の立場とか、彼女の父親について考えたとしても、押し殺したくないと思ってしまうほどに。
面倒見が良くて、口は悪いけど優しくて、仕事へと真面目に取り組む小西早紀という女性が──陽介は心から好きなのだ。
まさか、友達とのケンカについて相談をしたら、小西先輩が好きだとはっきり気が付くなんて思わなかった。
「ところで花ちゃんって、ケンカした友達のコト、気になってるの?」
「は?」
今しがた、捨てられない恋心を自覚した陽介など知らない様子で、小西先輩は興味津々に尋ねてきた。