裸の語らい
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泡に包まれた自分より大きな背中を、陽介は何とはなしに見ていた。何が悲しくて男の背中を見ているのかとは訊かないでほしい。ただ、一人で滞っている問題で悶々としているよりはマシだと思ったからそうしたのだ。それとは別な、虚無感が心をじわじわと占めていっているけれど。
「どうした陽介。さては俺の背中に見惚れてるな?」
「そういえるだけの自信があることには、素直に見惚れるよ」
「まぁ今でも鍛えるようにはしてるからな。お母さんにかっこいいって言ってもらいたいし」
「聞けよ。そして聞いてねぇよ」
口では悪態をついてはいるが、たしかに父の背中は中年とは思えないほど若々しく引き締まっている。小・中・高・大学と様々なスポーツに打ち込んできて、アウトドアを趣味にしている人だ。母親から細身の体質を受け継いでいる自分としては、羨ましい。
「何を言われようと、見せられるような背中でいたいというのは本当だ」
そう言って、陽一はかんらかんらと笑った。どうしてか、その言葉が陽介の胸に残る。
陽介の父親──花村陽一はおおらかな人だ。くわえて実直な人でもある。その人柄があってか、『ジュネス』を始めとした店舗の立ち上げにいくつも携わるなど、社会人としても優秀らしい。実際、陽介も口にはしないだけで、『ジュネス』で仕事に励む陽一の姿は尊敬している。
ただ、父親として手放しで尊敬できるかというと、そうではなかった。
──なぜなら、こうしていきなり風呂に突撃したりと、妙な奇行を起こす天然さを持ち合わせているからだ。
(なんでいきなり息子の風呂になんて突撃してきたんだろな。この人)
陽一が風呂に突撃してきたあの後、陽介は陽一を問答無用で閉め出した。花村家の浴槽は生憎、中流階級にふさわしい広さとなっている。つまり男が二人入るとムサ苦しくて仕方ないのである。加えて、成熟してある程度持ち合わせた羞恥心も耐えられなかった。
しかし──。
『ようすけー』
『さむいー』
──この父親、脱衣所でそう繰り返しやがったのである。さむいーさむいーと鳴く声に陽介は最初、無視を決め込んだ。しかし、陽一があまりにかぼそく『さむいー』と繰り返すものだから、根負けした陽介は風呂場のドアを開いた。『陽介は優しいな!』とムサ苦しく抱きついてきやがろうとしたので、顔面にシャワーをぶっかけてやったけれど。
そんなことをされても、陽一は怒らない。親だと言ってその権威を振りかざさない謙虚な姿勢や、ある程度の粗相は受け入れられる器の大きさを、子供として陽介は尊敬していた。
人柄はその人の外見に現れるという、ファッションとか生まれもった身体といった具合に。健全な精神は健全な肉体に宿るというように。ならば陽一の背中は、陽一そのものだ。大きくて、動じることがなくて、──陽介なんかよりずっと大きいものを背負っている。
「………………まぁ、かっこいいとは思ってるよ」
ポツリ、と陽介は呟く。無意識にこぼれた言葉には、そこはかとなく憧憬が混じる。陽一は、陽介なんかより多くのものを背負っている。地元民から向けられる複雑な感情のこもった視線の数々、多くの社員やアルバイトを統括、運営する『ジュネス』の店長としての責任、──そして、陽介を含む家族の大黒柱としての責務。
陽介が抱えるものなんて、それこそ及びもつかないくらいに。
「陽介、おまえ…………!」
陽介の心の内なぞ知らない陽一は、キラキラと無邪気な視線を陽介に向けている。その視線がこそばゆくて、陽介は湯船に頭を沈めた。
「珍しいな。おまえが素直に俺を誉めるなんて。明日は雪が降るかな」
「いきなりオヤジが風呂に突撃してきてんだ。これ以上珍しいことなんてありゃしねーよ」
「そうかもな。おまえも珍しく落ち込んでるし」
ブホッと、陽介は風呂のなかで盛大に吹き出す。飛沫が吹っ飛んできたにも関わらず、「すごい肺活量だなー」と陽一はのんきに笑っていた。
「なにいってんだよオヤジ! テキトーいってんじゃ──」
「人間、抱えきれない不調があると、自然と動きがおかしくなるからな」
グッと、陽介は反論に詰まる。陽一はというと、言葉を無くした陽介を見透かすような目でひたりと見つめている。そしてその声は、染み入るように優しい。声質はまったく違うというのに、本質は────屋上から去ったとき、瑞月が発した響きに似ていた。
「それで、何かあったのか」
優しいけれど、いい逃げは許さないという、店長としての──そして父としての威厳がある。陽介が本気で困ったとき──陽一は必ずこの目をして、陽介を逃がさなかった。そうして、陽介を助けてくれた。自分がどんなに大変でも。陽一はそういう──優しい人なのだ。
「……友達と、ケンカした」
「……相手は?」
だから、彼の手を煩わせるわけにはいかない。陽一の視線がにわかに険しくなる。しかし、彼は短い問いともに、陽介が話す続きを待った。
「俺の……一番の友達。そいつは、俺がうるさく話してもバカなことやっても、いつも俺が傍にいること許してくれてさ、イロイロと俺のこと、心配してくれるんだ」
語るうちに、沈んだ記憶が水底の白砂をかき回したように舞い上がる。
初めて会った日の冷たい美貌に浮かんだ冷徹とも思える無表情。冷たい雨の日、泥で汚れた陽介へと迷いなく差し伸べられた温かな手。
人のために怒 れる、紺碧の瞳に宿った燃えるような激情。リアカーを引いて突っ走った、なりふり構わない猪突猛進さ。
文化祭の終わりに見せた、冬の終わりを告げる温かな笑顔。
冷たいフリをしているけれど、本当は──とても優しい陽介の友達。
「けど、俺。俺の話に、そいつが見透かしたように忠告するから。カチンときちゃってさ。『お前に何が分かるんだ』って言っちまった」
今思えば、あれは陽介の嫉妬だったのだ。人との関わりを極力避けるくせに、うまく立ち回れるだけの能力を持った、瑞月に。
「……何でも持ってて、何の苦労もなくて、いいよなって」
人の顔色なんて伺わなくて済む平穏も、降りかかる困難を退ける機転も、人に何を言われようが動じない強さも──何よりも、自分の居場所を。
陽介にないものを持っている瑞月が、羨ましくて、妬ましかった。
「──陽介」
浴槽のなかに、陽一の声が響いた。反響する浴槽でも、彼の呼び声はクリアに陽介の心に浸透してくる。
「何も持っていない人なんて、いないぞ。それは陽介も、お前の友達も同じだ」
穏やか音で、陽一は語る。そうして見守るように優しい瞳が陽介を正面から捉えた。
「生きている人間は誰しもが、大切なものを一つは絶対に抱えている。気づいていないだけでな。財産だったり、名誉だったり、思い出だったり──家族だったりな。少なくとも、筋の通っている人間はみんなそうだ」
陽一は陽介を責めない。ただ、陽介に穏やかに語りかける。
「そうして、人は──大切だと抱えたものを無くさないために力を尽くす。あの手この手を尽くしてな」
陽一が、陽介に手を伸ばした。陽介の水濡れになった頭を、大きな手のひらが包み込む。
「だから──何でも『持っている』ように見える人間は、自分が大切にする『何か』を守るために、何かを『持たざる得なくなった』人なんだ。『持つ』というのは、良いものばかりではない。苦労や人からの妬み──悪いものだって持たなくてはいけない」
大きな手が、陽介を撫ぜた。幼い頃から陽介を支えてくれた、撫でてくれた大きな手だ。湯船に負けないくらい温かくて、陽介は安心してしまう。
「だから、その人が何でも持っていると思うのなら、その人が一番大切に抱えているものを、ちゃんと見てあげなさい」
陽一は、カラリと笑った。自分と似ている顔には、重ねてきた分の経験がシワとして刻まれていて、陽介よりも頼もしい。
「大丈夫。陽介は俺の息子だ。小心者なくせに無鉄砲なところは、俺に似てるから、ちゃんと走り出せるさ」
ただ、走りすぎて突き抜けないようにな。と陽一は笑う。心細かったはずの心に、日が射して、心に張り付いたモヤが晴れていった。
「それ、フツー誉めるところじゃなくね?」
「なんだ。誉めてるぞ? マイナスとマイナスは掛け合わされるとプラスになるんだ」
「そのポジティブ思考が羨ましいよ」
意地を張って素直にならない陽介にも、陽一はカラリと笑った。それは太陽のように温かい笑みだ。陽一は、陽介の良心を信じて励ましてくれている。シャーッと、勢いよくシャワーが流れた。陽一は振り返らずに、頭を洗い始める。
「でも、ありがとう」
──俺、ちゃんと謝るよ。
賑やかなシャワー音に紛れるようなボリュームで、ポツリと陽介は呟いた。しかし、陽一は楽しそうなリズムでワッシワッシと泡を立てる。その頼もしい背中を陽介は尊敬の念とともに見ていた。
だがしばらくすると、陽一の背中はピシリと固まる。そして、もがくように両腕を動かした。陽介の全身から血の気が引く。迷いなく、陽介は湯船から飛び出した。
「オヤジ! おい、どうしたんだよ!? どっか苦しいのか」
「よ、ようす゛け」
背中を支える陽介の手に、強張った腕が触れる。そうしてガラガラと喉を鳴らして、陽一は答えた。
「シ゛ャンプーがめにはい゛った゛」
「は?」
「く゛ち゛の゛な゛がに゛も゛、に゛がい゛」
陽介は半目になる。そして無情な勢いで、陽一の顔面にシャワーをぶっかけた。
「どうした陽介。さては俺の背中に見惚れてるな?」
「そういえるだけの自信があることには、素直に見惚れるよ」
「まぁ今でも鍛えるようにはしてるからな。お母さんにかっこいいって言ってもらいたいし」
「聞けよ。そして聞いてねぇよ」
口では悪態をついてはいるが、たしかに父の背中は中年とは思えないほど若々しく引き締まっている。小・中・高・大学と様々なスポーツに打ち込んできて、アウトドアを趣味にしている人だ。母親から細身の体質を受け継いでいる自分としては、羨ましい。
「何を言われようと、見せられるような背中でいたいというのは本当だ」
そう言って、陽一はかんらかんらと笑った。どうしてか、その言葉が陽介の胸に残る。
陽介の父親──花村陽一はおおらかな人だ。くわえて実直な人でもある。その人柄があってか、『ジュネス』を始めとした店舗の立ち上げにいくつも携わるなど、社会人としても優秀らしい。実際、陽介も口にはしないだけで、『ジュネス』で仕事に励む陽一の姿は尊敬している。
ただ、父親として手放しで尊敬できるかというと、そうではなかった。
──なぜなら、こうしていきなり風呂に突撃したりと、妙な奇行を起こす天然さを持ち合わせているからだ。
(なんでいきなり息子の風呂になんて突撃してきたんだろな。この人)
陽一が風呂に突撃してきたあの後、陽介は陽一を問答無用で閉め出した。花村家の浴槽は生憎、中流階級にふさわしい広さとなっている。つまり男が二人入るとムサ苦しくて仕方ないのである。加えて、成熟してある程度持ち合わせた羞恥心も耐えられなかった。
しかし──。
『ようすけー』
『さむいー』
──この父親、脱衣所でそう繰り返しやがったのである。さむいーさむいーと鳴く声に陽介は最初、無視を決め込んだ。しかし、陽一があまりにかぼそく『さむいー』と繰り返すものだから、根負けした陽介は風呂場のドアを開いた。『陽介は優しいな!』とムサ苦しく抱きついてきやがろうとしたので、顔面にシャワーをぶっかけてやったけれど。
そんなことをされても、陽一は怒らない。親だと言ってその権威を振りかざさない謙虚な姿勢や、ある程度の粗相は受け入れられる器の大きさを、子供として陽介は尊敬していた。
人柄はその人の外見に現れるという、ファッションとか生まれもった身体といった具合に。健全な精神は健全な肉体に宿るというように。ならば陽一の背中は、陽一そのものだ。大きくて、動じることがなくて、──陽介なんかよりずっと大きいものを背負っている。
「………………まぁ、かっこいいとは思ってるよ」
ポツリ、と陽介は呟く。無意識にこぼれた言葉には、そこはかとなく憧憬が混じる。陽一は、陽介なんかより多くのものを背負っている。地元民から向けられる複雑な感情のこもった視線の数々、多くの社員やアルバイトを統括、運営する『ジュネス』の店長としての責任、──そして、陽介を含む家族の大黒柱としての責務。
陽介が抱えるものなんて、それこそ及びもつかないくらいに。
「陽介、おまえ…………!」
陽介の心の内なぞ知らない陽一は、キラキラと無邪気な視線を陽介に向けている。その視線がこそばゆくて、陽介は湯船に頭を沈めた。
「珍しいな。おまえが素直に俺を誉めるなんて。明日は雪が降るかな」
「いきなりオヤジが風呂に突撃してきてんだ。これ以上珍しいことなんてありゃしねーよ」
「そうかもな。おまえも珍しく落ち込んでるし」
ブホッと、陽介は風呂のなかで盛大に吹き出す。飛沫が吹っ飛んできたにも関わらず、「すごい肺活量だなー」と陽一はのんきに笑っていた。
「なにいってんだよオヤジ! テキトーいってんじゃ──」
「人間、抱えきれない不調があると、自然と動きがおかしくなるからな」
グッと、陽介は反論に詰まる。陽一はというと、言葉を無くした陽介を見透かすような目でひたりと見つめている。そしてその声は、染み入るように優しい。声質はまったく違うというのに、本質は────屋上から去ったとき、瑞月が発した響きに似ていた。
「それで、何かあったのか」
優しいけれど、いい逃げは許さないという、店長としての──そして父としての威厳がある。陽介が本気で困ったとき──陽一は必ずこの目をして、陽介を逃がさなかった。そうして、陽介を助けてくれた。自分がどんなに大変でも。陽一はそういう──優しい人なのだ。
「……友達と、ケンカした」
「……相手は?」
だから、彼の手を煩わせるわけにはいかない。陽一の視線がにわかに険しくなる。しかし、彼は短い問いともに、陽介が話す続きを待った。
「俺の……一番の友達。そいつは、俺がうるさく話してもバカなことやっても、いつも俺が傍にいること許してくれてさ、イロイロと俺のこと、心配してくれるんだ」
語るうちに、沈んだ記憶が水底の白砂をかき回したように舞い上がる。
初めて会った日の冷たい美貌に浮かんだ冷徹とも思える無表情。冷たい雨の日、泥で汚れた陽介へと迷いなく差し伸べられた温かな手。
人のために
文化祭の終わりに見せた、冬の終わりを告げる温かな笑顔。
冷たいフリをしているけれど、本当は──とても優しい陽介の友達。
「けど、俺。俺の話に、そいつが見透かしたように忠告するから。カチンときちゃってさ。『お前に何が分かるんだ』って言っちまった」
今思えば、あれは陽介の嫉妬だったのだ。人との関わりを極力避けるくせに、うまく立ち回れるだけの能力を持った、瑞月に。
「……何でも持ってて、何の苦労もなくて、いいよなって」
人の顔色なんて伺わなくて済む平穏も、降りかかる困難を退ける機転も、人に何を言われようが動じない強さも──何よりも、自分の居場所を。
陽介にないものを持っている瑞月が、羨ましくて、妬ましかった。
「──陽介」
浴槽のなかに、陽一の声が響いた。反響する浴槽でも、彼の呼び声はクリアに陽介の心に浸透してくる。
「何も持っていない人なんて、いないぞ。それは陽介も、お前の友達も同じだ」
穏やか音で、陽一は語る。そうして見守るように優しい瞳が陽介を正面から捉えた。
「生きている人間は誰しもが、大切なものを一つは絶対に抱えている。気づいていないだけでな。財産だったり、名誉だったり、思い出だったり──家族だったりな。少なくとも、筋の通っている人間はみんなそうだ」
陽一は陽介を責めない。ただ、陽介に穏やかに語りかける。
「そうして、人は──大切だと抱えたものを無くさないために力を尽くす。あの手この手を尽くしてな」
陽一が、陽介に手を伸ばした。陽介の水濡れになった頭を、大きな手のひらが包み込む。
「だから──何でも『持っている』ように見える人間は、自分が大切にする『何か』を守るために、何かを『持たざる得なくなった』人なんだ。『持つ』というのは、良いものばかりではない。苦労や人からの妬み──悪いものだって持たなくてはいけない」
大きな手が、陽介を撫ぜた。幼い頃から陽介を支えてくれた、撫でてくれた大きな手だ。湯船に負けないくらい温かくて、陽介は安心してしまう。
「だから、その人が何でも持っていると思うのなら、その人が一番大切に抱えているものを、ちゃんと見てあげなさい」
陽一は、カラリと笑った。自分と似ている顔には、重ねてきた分の経験がシワとして刻まれていて、陽介よりも頼もしい。
「大丈夫。陽介は俺の息子だ。小心者なくせに無鉄砲なところは、俺に似てるから、ちゃんと走り出せるさ」
ただ、走りすぎて突き抜けないようにな。と陽一は笑う。心細かったはずの心に、日が射して、心に張り付いたモヤが晴れていった。
「それ、フツー誉めるところじゃなくね?」
「なんだ。誉めてるぞ? マイナスとマイナスは掛け合わされるとプラスになるんだ」
「そのポジティブ思考が羨ましいよ」
意地を張って素直にならない陽介にも、陽一はカラリと笑った。それは太陽のように温かい笑みだ。陽一は、陽介の良心を信じて励ましてくれている。シャーッと、勢いよくシャワーが流れた。陽一は振り返らずに、頭を洗い始める。
「でも、ありがとう」
──俺、ちゃんと謝るよ。
賑やかなシャワー音に紛れるようなボリュームで、ポツリと陽介は呟いた。しかし、陽一は楽しそうなリズムでワッシワッシと泡を立てる。その頼もしい背中を陽介は尊敬の念とともに見ていた。
だがしばらくすると、陽一の背中はピシリと固まる。そして、もがくように両腕を動かした。陽介の全身から血の気が引く。迷いなく、陽介は湯船から飛び出した。
「オヤジ! おい、どうしたんだよ!? どっか苦しいのか」
「よ、ようす゛け」
背中を支える陽介の手に、強張った腕が触れる。そうしてガラガラと喉を鳴らして、陽一は答えた。
「シ゛ャンプーがめにはい゛った゛」
「は?」
「く゛ち゛の゛な゛がに゛も゛、に゛がい゛」
陽介は半目になる。そして無情な勢いで、陽一の顔面にシャワーをぶっかけた。