その後の2人
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浴室の外では、ごうんごうんと洗濯機が回っている。部屋の後始末は早々に済ませた。換気後、クーラーをつけたので、2人の昂ぶりが閉じ込められた蠱惑的な世界は、もうない。
陽介は今、湯舟に浸かっている。べたつく体と冷めない熱に辟易して、瑞月と陽介は風呂場に直行した。
ちなみに陽介は先に浴室を使うように勧めたのだが、瑞月が陽介を連れ込んだ。たとえ短時間でも、べたついた身体で不快な思いをさせたくない。との理由で。
浴槽につかった陽介が、なにやらにやにやと瑞月を見つめている。視線に気がついた瑞月が、髪を湿らせていたシャワーを止めて振り返る。
「どうした。おまえさま」
「あのUネック、洗わねえでとっておこうかなって」
瑞月が大事に抱き締めてたからさ。と言うと瑞月の眉が若干下がった。気持ち悪がられると思っていたので、陽介は拍子抜けする。瑞月は重くため息をつく。
「おまえさま、不衛生だぞ。やめておけ。それに……」
「それに?」
「わたしはあのUネックを着たおまえさまが好きだ。だから、きちんとケアして長く着てほ———」
瑞月の胸元に温水がかかった。陽介がのぼせ上った顔で絶句して、両手を水鉄砲の形に組んでいる。浴槽の湯を砲弾替わりに発射したのである。
瑞月の恥ずかしがる様子を見たくてからかったつもりが、自分を褒められて恥ずかしくなった。
「さらっと爆弾落とすな!照れんだろうがっ」
「事実だ。水のような大らかな心で受け取れ。おや、身体が火照っているな。ではシャワーで冷やしてやろう」
「うわ、ちょ、やめ」
悪い顔をした瑞月がシャワーの蛇口を捻った。冷水をかけられると思って、陽介は身構える。しかし、ばしゃーっと、陽介の頭に降りかかったのは温水であった。
陽介が驚いている間、瑞月はシャンプー塗りつける。くしゅくしゅくしゅと、陽介は髪を洗われた。頭皮マッサージ込みで。めちゃくちゃに甘い対応である。地肌に洗剤が残らないように、しっかりと洗い流したあと、労る声で瑞月は言う。
「遅れたが、暑い中、よく頑張って帰ったな」
「……お前は俺を甘やかしすぎだと思う」
「おまえさまを甘やかせる時間は貴重だから、甘やかせるときに甘やかすのだが」
真顔で、瑞月は宣言する。
瑞月からすると、世界も時間も陽介自身も、陽介に優しくない。だから、時間があるときは目いっぱい陽介を大切にするのである。甘やかすのもその一環であった。
陽介はまたもや絶句し、勢いよく瑞月に背中を向ける。赤くなった耳が隠れていない件について、瑞月は何も言わない。
しばらくすると、陽介が視線を瑞月に戻す。なにやら、ぎこちなく陽介は口を開いた。
「……俺も瑞月の髪、洗っていい?」
「……!よいのか?」
陽介の提案に、瑞月の瞳は輝く。陽介は断られなかったと、心のうちで安心していた。瑞月が恋人を甘やかすように、陽介も瑞月を甘やかしたいのである。
湯船から上がり、適量のシャンプーを手に取った陽介は彼女の頭皮に手を添える。
「じゃ、触るぞー、かゆいとこあったら言えよー」
「よ、よろしく頼む……おぉ、手つきが優しい……これはなかなか……」
瑞月は気持ちよさそうに目を細めた。彼女に触れたいという下心もあるが、自分の行動で喜んでくれる彼女が愛おしくて、もっと甘やかしたいと思ってしまう。幸いにもその時間は、まだまだたくさんあった。
久しぶりのデートの日。一時はどうなるかと思ったが、今はこうして恋人と気持ちを通わせて、イチャイチャできている。とても贅沢な時間であると2人は思う。
あと数日は、恋人と共に過ごせる事実に二人の胸は高鳴った。誰に干渉されることもなく、お互いがお互いを独り占めできる。
陽介も瑞月も、言葉にせずとも、相手を思いっきり甘やかそうと心に決めた。
世界から切り離されて2人きりの、夏の密室で。
「楽しい休みになりそーだな」
「私も、そう思うよ」
陽介は今、湯舟に浸かっている。べたつく体と冷めない熱に辟易して、瑞月と陽介は風呂場に直行した。
ちなみに陽介は先に浴室を使うように勧めたのだが、瑞月が陽介を連れ込んだ。たとえ短時間でも、べたついた身体で不快な思いをさせたくない。との理由で。
浴槽につかった陽介が、なにやらにやにやと瑞月を見つめている。視線に気がついた瑞月が、髪を湿らせていたシャワーを止めて振り返る。
「どうした。おまえさま」
「あのUネック、洗わねえでとっておこうかなって」
瑞月が大事に抱き締めてたからさ。と言うと瑞月の眉が若干下がった。気持ち悪がられると思っていたので、陽介は拍子抜けする。瑞月は重くため息をつく。
「おまえさま、不衛生だぞ。やめておけ。それに……」
「それに?」
「わたしはあのUネックを着たおまえさまが好きだ。だから、きちんとケアして長く着てほ———」
瑞月の胸元に温水がかかった。陽介がのぼせ上った顔で絶句して、両手を水鉄砲の形に組んでいる。浴槽の湯を砲弾替わりに発射したのである。
瑞月の恥ずかしがる様子を見たくてからかったつもりが、自分を褒められて恥ずかしくなった。
「さらっと爆弾落とすな!照れんだろうがっ」
「事実だ。水のような大らかな心で受け取れ。おや、身体が火照っているな。ではシャワーで冷やしてやろう」
「うわ、ちょ、やめ」
悪い顔をした瑞月がシャワーの蛇口を捻った。冷水をかけられると思って、陽介は身構える。しかし、ばしゃーっと、陽介の頭に降りかかったのは温水であった。
陽介が驚いている間、瑞月はシャンプー塗りつける。くしゅくしゅくしゅと、陽介は髪を洗われた。頭皮マッサージ込みで。めちゃくちゃに甘い対応である。地肌に洗剤が残らないように、しっかりと洗い流したあと、労る声で瑞月は言う。
「遅れたが、暑い中、よく頑張って帰ったな」
「……お前は俺を甘やかしすぎだと思う」
「おまえさまを甘やかせる時間は貴重だから、甘やかせるときに甘やかすのだが」
真顔で、瑞月は宣言する。
瑞月からすると、世界も時間も陽介自身も、陽介に優しくない。だから、時間があるときは目いっぱい陽介を大切にするのである。甘やかすのもその一環であった。
陽介はまたもや絶句し、勢いよく瑞月に背中を向ける。赤くなった耳が隠れていない件について、瑞月は何も言わない。
しばらくすると、陽介が視線を瑞月に戻す。なにやら、ぎこちなく陽介は口を開いた。
「……俺も瑞月の髪、洗っていい?」
「……!よいのか?」
陽介の提案に、瑞月の瞳は輝く。陽介は断られなかったと、心のうちで安心していた。瑞月が恋人を甘やかすように、陽介も瑞月を甘やかしたいのである。
湯船から上がり、適量のシャンプーを手に取った陽介は彼女の頭皮に手を添える。
「じゃ、触るぞー、かゆいとこあったら言えよー」
「よ、よろしく頼む……おぉ、手つきが優しい……これはなかなか……」
瑞月は気持ちよさそうに目を細めた。彼女に触れたいという下心もあるが、自分の行動で喜んでくれる彼女が愛おしくて、もっと甘やかしたいと思ってしまう。幸いにもその時間は、まだまだたくさんあった。
久しぶりのデートの日。一時はどうなるかと思ったが、今はこうして恋人と気持ちを通わせて、イチャイチャできている。とても贅沢な時間であると2人は思う。
あと数日は、恋人と共に過ごせる事実に二人の胸は高鳴った。誰に干渉されることもなく、お互いがお互いを独り占めできる。
陽介も瑞月も、言葉にせずとも、相手を思いっきり甘やかそうと心に決めた。
世界から切り離されて2人きりの、夏の密室で。
「楽しい休みになりそーだな」
「私も、そう思うよ」
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