向き合う2人
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——! ……! 瑞月!
瞳が黒に覆われている。その中で、確かに大好きで、想ってやまない人の声が聞こえた。夢だろうかと、瑞月はおもう。そうして一人で納得した。これは夢だ。
瑞月は洗濯物を畳んでいる最中に、部屋を吹き抜ける風が心地よくて、眠ってしまったのだ。どうせまだ、彼は帰ってこないのだ。ならば、しばらくは夢の中の声を堪能したってバチは当たらないだろう。瑞月は胸の中の布を抱き枕代わりに抱き締める。
——起きろって、瑞月!
肩に、骨と筋肉の硬さが触れる。おや?と疑問が浮上した。夢にしては声がはっきりしているし、肩を揺さぶられる感覚も確かだ。
もしや夢ではなく、現実の感覚?
なんとなく、まどろみを押しのけて瑞月は瞳を開いた。目の前には、甘く垂れたヘーゼルの瞳と、整った鼻梁、明るく輝くブラウンの髪に、手入れの行き届いた少し厚い唇がある。瑞月は瞼を上下させた。
どこから見ても、彼女の唯一無二の愛しい人だった。それからぽかんと口を開く。
「よう、すけ」
「オハヨーさん、はは、よく寝てたぞ」
そういって、陽介はいたずらっぽくウインクを飛ばす。ちょっと汗をかいたその笑顔がまぶしい。100点満点中200点。陽介がしゃがみこんで瑞月の寝顔をのぞき込んで笑っている。
対して瑞月は、今の自分の有様を想像した。100点満点中0点。湧き上がる羞恥に絶叫——しかけて、手近なクッションに頭を沈めた。
『う、うわぁああああああああああああッ』
「うわ、落ち着けって!! なんで世界の終わりみたいな声出しながら、クッションに頭突きしてんだよ」
反射的に、賃貸の騒音問題に配慮した。瑞月のせいで陽介の社会的信用に傷をつけることなどあってはならない。なったら、瑞月は切腹して詫びるしかない。
陽介に説明をする暇もなく、瑞月はクッション越しに呻いて転がる。畳んだ洗濯物を避けて、瑞月は陽介から距離をとった。
「待って、はしたない。おまえさまに会うというのに、私はなんという不埒なことを」
「いやー、お前の寝顔レアだったな。もう少し起こさなきゃ良かったかもー。口ちっちゃく開けうもっ」
ペラペラと気をよくして瑞月の寝顔について語ろうとする陽介に、ぱふっとクションが押し付けられた。力加減はしているので、陽介が痛みを感じることはないだろう。
クッションをとり、何やらにやけた陽介を、力を込めて睨んだ。顔が熱く、普段より視界が歪んでいたので、瞳はきっとうるんでいる。陽介は黙って、瑞月に向って手招きした。
瞳が黒に覆われている。その中で、確かに大好きで、想ってやまない人の声が聞こえた。夢だろうかと、瑞月はおもう。そうして一人で納得した。これは夢だ。
瑞月は洗濯物を畳んでいる最中に、部屋を吹き抜ける風が心地よくて、眠ってしまったのだ。どうせまだ、彼は帰ってこないのだ。ならば、しばらくは夢の中の声を堪能したってバチは当たらないだろう。瑞月は胸の中の布を抱き枕代わりに抱き締める。
——起きろって、瑞月!
肩に、骨と筋肉の硬さが触れる。おや?と疑問が浮上した。夢にしては声がはっきりしているし、肩を揺さぶられる感覚も確かだ。
もしや夢ではなく、現実の感覚?
なんとなく、まどろみを押しのけて瑞月は瞳を開いた。目の前には、甘く垂れたヘーゼルの瞳と、整った鼻梁、明るく輝くブラウンの髪に、手入れの行き届いた少し厚い唇がある。瑞月は瞼を上下させた。
どこから見ても、彼女の唯一無二の愛しい人だった。それからぽかんと口を開く。
「よう、すけ」
「オハヨーさん、はは、よく寝てたぞ」
そういって、陽介はいたずらっぽくウインクを飛ばす。ちょっと汗をかいたその笑顔がまぶしい。100点満点中200点。陽介がしゃがみこんで瑞月の寝顔をのぞき込んで笑っている。
対して瑞月は、今の自分の有様を想像した。100点満点中0点。湧き上がる羞恥に絶叫——しかけて、手近なクッションに頭を沈めた。
『う、うわぁああああああああああああッ』
「うわ、落ち着けって!! なんで世界の終わりみたいな声出しながら、クッションに頭突きしてんだよ」
反射的に、賃貸の騒音問題に配慮した。瑞月のせいで陽介の社会的信用に傷をつけることなどあってはならない。なったら、瑞月は切腹して詫びるしかない。
陽介に説明をする暇もなく、瑞月はクッション越しに呻いて転がる。畳んだ洗濯物を避けて、瑞月は陽介から距離をとった。
「待って、はしたない。おまえさまに会うというのに、私はなんという不埒なことを」
「いやー、お前の寝顔レアだったな。もう少し起こさなきゃ良かったかもー。口ちっちゃく開けうもっ」
ペラペラと気をよくして瑞月の寝顔について語ろうとする陽介に、ぱふっとクションが押し付けられた。力加減はしているので、陽介が痛みを感じることはないだろう。
クッションをとり、何やらにやけた陽介を、力を込めて睨んだ。顔が熱く、普段より視界が歪んでいたので、瞳はきっとうるんでいる。陽介は黙って、瑞月に向って手招きした。