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霧にまみれた異世界、“柊みすず”の無残なポスターが残った部屋、陽介に襲いかかった怪物と、それを倒した悠の不思議な力、あの異世界に人が放り込まれてると言った奇妙なクマ────。
ベットで瞼を閉じていても、放課後の事ばかりが思い出されて、陽介はなかなか眠りに就けない。忘れろと念じても、次から次へと気にかかることばかりが頭の中を埋め尽くす。
連絡の取れない小西先輩。昨日、マヨナカテレビに映っていた小西先輩に似た高校生。
(そういえば、山野アナも《マヨナカテレビ》に映ってたとかいう噂なかったっけ……)
そう思うと、いても立ってもいられなかった。身体を跳ね起こし、陽介は時計を確認する。
時刻は午前0時数分前、外ではしとしとと雨が降っている。
テレビの電源を落とし、0時を待つ。何とも言えない不安が陽介の胸に居座っている。何も映らないことを陽介は切に祈った。
だがそれもむなしく、テレビ画面がノイズを立てた。
黄色い光が目に痛い。欠けの多い映像のなかで何かが激しく暴れていた。何かは亜麻色の髪を振り乱して、狂ったようにのたうち回っている。
「小西先輩!?」
制服も、緩いクセのある長い髪も、バイトで頻繁に会う陽介が見違えるはずがない。小西先輩は黒い靄──異世界の怪物《シャドウ》を形づくったノイズと似ている──に纏わりつかれている。
ヒュッと陽介の身体から血の気が引いた。砂嵐のように画面が乱れるなか、小西先輩の白い頬を涙が伝った。耳障りなノイズの中に、先輩の叫びが混じった気までしてくる。運命の人など、甘い言葉とかけ離れた胸糞悪い映像が《マヨナカテレビ》には映されていた。
「先輩ッ! どうしたんだよ先輩ッ」
胸が苦しくなって、陽介は映像に手を伸ばす。途端にテレビは事切れたように沈黙した。慌てて陽介はテレビに駆け寄る。そして液晶画面に触れてみるが、電気の通っていないテレビはうんともすんとも言わない。ジュネスで悠が見せたように、手が内側に入り込むこともない。部屋の中にはただ、しとしとと雨音が満ちるばかり。
「くそっ」
沈みゆく人に手を伸ばせなかったような遣る瀬なさに、陽介は歯噛みする。マヨナカテレビ写った小西先輩は、とても苦しそうだった。
必死で黒い《何か》から逃れようとするみたいにもがいて。その《何か》は陽介がテレビの中で襲われた《シャドウ》という怪物に似ていて。
(似て、いて……?)
身体の熱が一気に下がる。何でもない。見間違いだ。そう自分に言い聞かせるけれど、一向に氷水を浴びせかけられたような悪寒は収まらなかった。それをどうにかしたくて、陽介はベッドに飛び込みブランケットにくるまる。
ベットのヘッドボードから乱暴に携帯を掴んだ。メールを開き、急いで新しいメッセージを書き上げ、小西先輩に宛てに送信。藁にも縋る思いで、陽介は小西先輩からの返信を待った。
(届いてくれ……お願いだから……!)
一言でもいい、どんな下らないことでもいい。
あなたが居る、あなたが生きている証明が欲しい。
だがしかし──やはりというか──陽介の祈りも虚しく、小西先輩からの返信はなかった。
ベットで瞼を閉じていても、放課後の事ばかりが思い出されて、陽介はなかなか眠りに就けない。忘れろと念じても、次から次へと気にかかることばかりが頭の中を埋め尽くす。
連絡の取れない小西先輩。昨日、マヨナカテレビに映っていた小西先輩に似た高校生。
(そういえば、山野アナも《マヨナカテレビ》に映ってたとかいう噂なかったっけ……)
そう思うと、いても立ってもいられなかった。身体を跳ね起こし、陽介は時計を確認する。
時刻は午前0時数分前、外ではしとしとと雨が降っている。
テレビの電源を落とし、0時を待つ。何とも言えない不安が陽介の胸に居座っている。何も映らないことを陽介は切に祈った。
だがそれもむなしく、テレビ画面がノイズを立てた。
黄色い光が目に痛い。欠けの多い映像のなかで何かが激しく暴れていた。何かは亜麻色の髪を振り乱して、狂ったようにのたうち回っている。
「小西先輩!?」
制服も、緩いクセのある長い髪も、バイトで頻繁に会う陽介が見違えるはずがない。小西先輩は黒い靄──異世界の怪物《シャドウ》を形づくったノイズと似ている──に纏わりつかれている。
ヒュッと陽介の身体から血の気が引いた。砂嵐のように画面が乱れるなか、小西先輩の白い頬を涙が伝った。耳障りなノイズの中に、先輩の叫びが混じった気までしてくる。運命の人など、甘い言葉とかけ離れた胸糞悪い映像が《マヨナカテレビ》には映されていた。
「先輩ッ! どうしたんだよ先輩ッ」
胸が苦しくなって、陽介は映像に手を伸ばす。途端にテレビは事切れたように沈黙した。慌てて陽介はテレビに駆け寄る。そして液晶画面に触れてみるが、電気の通っていないテレビはうんともすんとも言わない。ジュネスで悠が見せたように、手が内側に入り込むこともない。部屋の中にはただ、しとしとと雨音が満ちるばかり。
「くそっ」
沈みゆく人に手を伸ばせなかったような遣る瀬なさに、陽介は歯噛みする。マヨナカテレビ写った小西先輩は、とても苦しそうだった。
必死で黒い《何か》から逃れようとするみたいにもがいて。その《何か》は陽介がテレビの中で襲われた《シャドウ》という怪物に似ていて。
(似て、いて……?)
身体の熱が一気に下がる。何でもない。見間違いだ。そう自分に言い聞かせるけれど、一向に氷水を浴びせかけられたような悪寒は収まらなかった。それをどうにかしたくて、陽介はベッドに飛び込みブランケットにくるまる。
ベットのヘッドボードから乱暴に携帯を掴んだ。メールを開き、急いで新しいメッセージを書き上げ、小西先輩に宛てに送信。藁にも縋る思いで、陽介は小西先輩からの返信を待った。
(届いてくれ……お願いだから……!)
一言でもいい、どんな下らないことでもいい。
あなたが居る、あなたが生きている証明が欲しい。
だがしかし──やはりというか──陽介の祈りも虚しく、小西先輩からの返信はなかった。