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昨日の夜《マヨナカテレビ》を試そうとの言い出しっぺは、クラスメイトで友人の里中千枝だ。陽介と八十稲羽に来たばかりの転校生──鳴上悠を誘って。
陽介はマヨナカテレビの怪現象について話すべく、自席を立つ。もう放課後だ、話す時間は十分にある。
「ああ、花村。先に失礼する」
「あれ。瀬名と天城は今日も早帰り?」
「……うん。私も瑞月ちゃんも、家の用事があるから」
「……そか。2人とも気ぃつけて帰れよー」
「ありがとう。花村もな」
途中で帰宅組の瑞月と雪子とすれ違う。瑞月はともかく、雪子はどこか落ち着きのない様子だったので、陽介は不思議がる。
新学期に入ってから、やたらと彼女は忙しそうだ。実家の旅館が大変なのだろうかと、傍目に思考を巡らせながら悠の席へ向かう。
「あ、花村……」
まだ席に着いている悠のもとへ向かうと、そこには先客の千枝もいた。彼らに近づきながら、陽介は「?」と首をひねった。放課後のなごやかな雰囲気とは程遠い、戸惑いが強い雰囲気で声をかけ辛い。だが、なんとか陽介はぎこちなく手を振った。
「よ、よう」
「あ……あのさ、花村。昨日の夜……見た?」
彼女は陽介の顔を見るなりおずおずと話を切り出す。陽介の答えを、千枝と悠は固唾を呑んで見守っていた。明るい千枝も、寡黙で落ち着いた印象の悠さえも、やはりどこか落ち着きがなく戸惑っている。陽介は困惑して頬を掻く。
「え……そういうお前はどうだったんだよ」
軽口は通用しない空気の重さに、陽介は『マヨナカテレビ』について言い渋った。2人の態度はいわくありげだ。陽介は不吉な予感を覚えて質問で切り返す。すると千枝が堰きったように口走った。
「見た! 見えたんだって! 女の子!」
「え、お前も!?」
まるで幽霊を目撃したと訴える千枝に、陽介は目を見張った。そのまま、興奮ぎみに手を動かし彼女は捲し立てる。
「明らかに女の子でさ……髪がね、ふわっとしてて、肩くらい。で、八高 の制服で……」
「!?」
陽介はぎょっとした。奇妙なことに、陽介が見た小西早紀とよく似た人物と特徴が酷似している。
陽介が《マヨナカテレビ》で目撃した人物が小西先輩に似ているという憶測は出さず千枝に伝えると、彼女は不可解そうに首を捻った。
「それ……もしかしたら、俺が見たのと同じかも」
「えっ!? 花村も見たの? あたしらと同じ人!」
「『あたしらと』……? まさか鳴上もか!?」
「……うん。髪とか服とか、俺が見たの、全部里中の話した特徴と一緒だったから……同じ人だと思う」
マヨナカテレビには運命の相手が映るという。だが、2人ならいざ知らず、3人が見た人物がよく似ているとはどういうことか。
「あたしら三人が見たの、おんなじ子だってこと? 運命の相手なのに? なんで?」
「知るかよ……。そもそも『運命の相手』だっつー確証もないだろ」
「そ、それもそうだよね……。そもそもなんで電源入ってないテレビが映るんだって話で……」
千枝の言う通り、運命の人が同一人物であること。電気の通っていないテレビが光を発して写ったこと。不可解な点は多い。
眉唾ものの都市伝説が本物の怪奇現象だった困惑に、千枝と陽介は口をつぐむ。気まずい沈黙が落ちた直後、それまで2人のやりとりをうかがっていた悠がおずおずと口を開いた。
「それから、さ────2人はテレビの中に吸い込まれたりしなかった?」
「「…………………………は?」」
陽介は自分の耳を疑った。千枝も同じく呆気にとられた声を出す。それほどに悠の告白は、にわかには信じがたいものだった。
陽介はマヨナカテレビの怪現象について話すべく、自席を立つ。もう放課後だ、話す時間は十分にある。
「ああ、花村。先に失礼する」
「あれ。瀬名と天城は今日も早帰り?」
「……うん。私も瑞月ちゃんも、家の用事があるから」
「……そか。2人とも気ぃつけて帰れよー」
「ありがとう。花村もな」
途中で帰宅組の瑞月と雪子とすれ違う。瑞月はともかく、雪子はどこか落ち着きのない様子だったので、陽介は不思議がる。
新学期に入ってから、やたらと彼女は忙しそうだ。実家の旅館が大変なのだろうかと、傍目に思考を巡らせながら悠の席へ向かう。
「あ、花村……」
まだ席に着いている悠のもとへ向かうと、そこには先客の千枝もいた。彼らに近づきながら、陽介は「?」と首をひねった。放課後のなごやかな雰囲気とは程遠い、戸惑いが強い雰囲気で声をかけ辛い。だが、なんとか陽介はぎこちなく手を振った。
「よ、よう」
「あ……あのさ、花村。昨日の夜……見た?」
彼女は陽介の顔を見るなりおずおずと話を切り出す。陽介の答えを、千枝と悠は固唾を呑んで見守っていた。明るい千枝も、寡黙で落ち着いた印象の悠さえも、やはりどこか落ち着きがなく戸惑っている。陽介は困惑して頬を掻く。
「え……そういうお前はどうだったんだよ」
軽口は通用しない空気の重さに、陽介は『マヨナカテレビ』について言い渋った。2人の態度はいわくありげだ。陽介は不吉な予感を覚えて質問で切り返す。すると千枝が堰きったように口走った。
「見た! 見えたんだって! 女の子!」
「え、お前も!?」
まるで幽霊を目撃したと訴える千枝に、陽介は目を見張った。そのまま、興奮ぎみに手を動かし彼女は捲し立てる。
「明らかに女の子でさ……髪がね、ふわっとしてて、肩くらい。で、
「!?」
陽介はぎょっとした。奇妙なことに、陽介が見た小西早紀とよく似た人物と特徴が酷似している。
陽介が《マヨナカテレビ》で目撃した人物が小西先輩に似ているという憶測は出さず千枝に伝えると、彼女は不可解そうに首を捻った。
「それ……もしかしたら、俺が見たのと同じかも」
「えっ!? 花村も見たの? あたしらと同じ人!」
「『あたしらと』……? まさか鳴上もか!?」
「……うん。髪とか服とか、俺が見たの、全部里中の話した特徴と一緒だったから……同じ人だと思う」
マヨナカテレビには運命の相手が映るという。だが、2人ならいざ知らず、3人が見た人物がよく似ているとはどういうことか。
「あたしら三人が見たの、おんなじ子だってこと? 運命の相手なのに? なんで?」
「知るかよ……。そもそも『運命の相手』だっつー確証もないだろ」
「そ、それもそうだよね……。そもそもなんで電源入ってないテレビが映るんだって話で……」
千枝の言う通り、運命の人が同一人物であること。電気の通っていないテレビが光を発して写ったこと。不可解な点は多い。
眉唾ものの都市伝説が本物の怪奇現象だった困惑に、千枝と陽介は口をつぐむ。気まずい沈黙が落ちた直後、それまで2人のやりとりをうかがっていた悠がおずおずと口を開いた。
「それから、さ────2人はテレビの中に吸い込まれたりしなかった?」
「「…………………………は?」」
陽介は自分の耳を疑った。千枝も同じく呆気にとられた声を出す。それほどに悠の告白は、にわかには信じがたいものだった。