客人〈マレビト〉来たりき
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「お姉ちゃん!」
小学校の正門前につくと、人懐こい子犬のような声を聞いた。悠が確認すると、きいろい通学帽子をかぶった2人の女児が、悠と瑞月の2人を見ている。
かたや、栗色の髪を肩まで伸ばしたミディアムヘアの活発そう女の子。そしてかたやは、二つ結びにピンクのリボンを飾った愛らしい女の子──堂島菜々子だった。声の主である栗色の女の子が駆け寄ってきて、瑞月に向けて満面の笑みを向ける。その瞳は、野原の新緑を思わせる特徴的な若草色だ。
「妹……!?」
思わず悠は後ずさる。黒髪の瑞月と栗色の少女はまったく似つかない。だが、栗色の少女が見せた笑顔は、偽りのない親しみがこもったものだ。瑞月も、予想済みだとばかりに膝を曲げ、彼女に向かって微笑む。
「佳菜、ちゃんと待っていてくれたんだな」
「うん、佳菜ちゃんと待てたよ! お姉ちゃんうれしい?」
「あぁ、佳菜が私の迎えを待っていてくれて、とても嬉しいよ」
瑞月は栗色の女の子──佳菜の頭を帽子ごしに撫でる。その優しい手つきに、きゃーっと嬉しそうな様子で佳菜ははしゃいだ。その後ろからおずおずと菜々子が近づいてきた。彼女は不思議そうな目で、瑞月の後ろに突っ立った悠を見つめている。
「菜々子ちゃんも、待っていてくれてありがとうね」
「うん、わわっ」
菜々子に対しても、躊躇なく頭を撫でていた。頬を赤くして照れている様子から、菜々子と瑞月が知り合いであるのは明白だ。どういう関係かと悠が気にしていると、頭を撫でられ終えた佳菜が大きな目で悠を見つめている。
「お姉ちゃん、このお兄さん、だれ?」
「ああ、紹介が遅れてしまったな。私のクラスメイトの鳴上悠さんだ。菜々子ちゃんの従兄弟さんなんだって」
「いとこさん?」
「血の繋がった親戚さんということだ。菜々子ちゃんを迎えに来てくれたんだって」
「そうなんだ! 優しい人なんだね」
パッと、顔を輝かせた佳菜は自分の名札ケースを示してみせる。校章が刻まれた名札には『瀬名 佳菜』と彼女の名前がフリガナつきのキレイな文字で記されていた。
「こんにちわ、それから初めまして! 私は瀬名 佳菜っていいます。菜々子ちゃんとは『菜』って名前の文字が一緒のお友だちです!」
挨拶が終わり、佳菜は頭を勢いよく振り下ろした。エネルギッシュな礼によって、風圧で悠の前髪が少しめくれ上がった気がした。つられた菜々子も一緒に頭を下げる。
「こ、こんにちわ……?」
「菜々子ちゃんは いわなくて大丈夫だよ?」
「すごいな佳菜、ちゃんと自己紹介できていたよ。菜々子ちゃんも一緒に礼をしてくれてありがとうね」
「うん。たしかにすごい」
パチパチパチと高校生二人は手を叩く。お遊戯会を前にしたような微笑ましい拍手を前に、菜々子は照れ、佳菜ははしゃいだ。「やったね! 菜々ちゃん、ほめられたよ!」と飛び付く彼女に菜々子は満更でもなさそうだ。
「ではみんな、先生に説明しにいこう。そうしたら帰れるから」
「うん。菜々ちゃん、こっち」
「わっ、佳菜ちゃん」
佳菜が菜々子の手をとり、元気よく瑞月の腕に飛びつく。彼女と手を繋いだ女児2人は、そのまま親に着いていく雛のように連れたった。元気な佳菜に連れられて、菜々子も年相応の笑顔に瞳を輝かせる。その様子にほっと息を吐きながら、悠は3人の後に続く。
「驚いたな。瀬名、菜々子ちゃんと知り合いだったのか」
「佳菜の友達ということでな。仲良くさせてもらってるんだ。今日も、佳菜から連絡を受けて一緒に帰ることになっていた」
「あ、あのね……瑞月お姉さん、いつも優しくしてくれるの」
そういって、菜々子は慕わしげに瑞月を見上げた。瑞月は彼女へと、柔和に微笑み返す。やはり彼女は子供に懐かれるくらい、面倒見がいい人間らしい。
小学校の正門前につくと、人懐こい子犬のような声を聞いた。悠が確認すると、きいろい通学帽子をかぶった2人の女児が、悠と瑞月の2人を見ている。
かたや、栗色の髪を肩まで伸ばしたミディアムヘアの活発そう女の子。そしてかたやは、二つ結びにピンクのリボンを飾った愛らしい女の子──堂島菜々子だった。声の主である栗色の女の子が駆け寄ってきて、瑞月に向けて満面の笑みを向ける。その瞳は、野原の新緑を思わせる特徴的な若草色だ。
「妹……!?」
思わず悠は後ずさる。黒髪の瑞月と栗色の少女はまったく似つかない。だが、栗色の少女が見せた笑顔は、偽りのない親しみがこもったものだ。瑞月も、予想済みだとばかりに膝を曲げ、彼女に向かって微笑む。
「佳菜、ちゃんと待っていてくれたんだな」
「うん、佳菜ちゃんと待てたよ! お姉ちゃんうれしい?」
「あぁ、佳菜が私の迎えを待っていてくれて、とても嬉しいよ」
瑞月は栗色の女の子──佳菜の頭を帽子ごしに撫でる。その優しい手つきに、きゃーっと嬉しそうな様子で佳菜ははしゃいだ。その後ろからおずおずと菜々子が近づいてきた。彼女は不思議そうな目で、瑞月の後ろに突っ立った悠を見つめている。
「菜々子ちゃんも、待っていてくれてありがとうね」
「うん、わわっ」
菜々子に対しても、躊躇なく頭を撫でていた。頬を赤くして照れている様子から、菜々子と瑞月が知り合いであるのは明白だ。どういう関係かと悠が気にしていると、頭を撫でられ終えた佳菜が大きな目で悠を見つめている。
「お姉ちゃん、このお兄さん、だれ?」
「ああ、紹介が遅れてしまったな。私のクラスメイトの鳴上悠さんだ。菜々子ちゃんの従兄弟さんなんだって」
「いとこさん?」
「血の繋がった親戚さんということだ。菜々子ちゃんを迎えに来てくれたんだって」
「そうなんだ! 優しい人なんだね」
パッと、顔を輝かせた佳菜は自分の名札ケースを示してみせる。校章が刻まれた名札には『瀬名 佳菜』と彼女の名前がフリガナつきのキレイな文字で記されていた。
「こんにちわ、それから初めまして! 私は瀬名 佳菜っていいます。菜々子ちゃんとは『菜』って名前の文字が一緒のお友だちです!」
挨拶が終わり、佳菜は頭を勢いよく振り下ろした。エネルギッシュな礼によって、風圧で悠の前髪が少しめくれ上がった気がした。つられた菜々子も一緒に頭を下げる。
「こ、こんにちわ……?」
「菜々子ちゃんは いわなくて大丈夫だよ?」
「すごいな佳菜、ちゃんと自己紹介できていたよ。菜々子ちゃんも一緒に礼をしてくれてありがとうね」
「うん。たしかにすごい」
パチパチパチと高校生二人は手を叩く。お遊戯会を前にしたような微笑ましい拍手を前に、菜々子は照れ、佳菜ははしゃいだ。「やったね! 菜々ちゃん、ほめられたよ!」と飛び付く彼女に菜々子は満更でもなさそうだ。
「ではみんな、先生に説明しにいこう。そうしたら帰れるから」
「うん。菜々ちゃん、こっち」
「わっ、佳菜ちゃん」
佳菜が菜々子の手をとり、元気よく瑞月の腕に飛びつく。彼女と手を繋いだ女児2人は、そのまま親に着いていく雛のように連れたった。元気な佳菜に連れられて、菜々子も年相応の笑顔に瞳を輝かせる。その様子にほっと息を吐きながら、悠は3人の後に続く。
「驚いたな。瀬名、菜々子ちゃんと知り合いだったのか」
「佳菜の友達ということでな。仲良くさせてもらってるんだ。今日も、佳菜から連絡を受けて一緒に帰ることになっていた」
「あ、あのね……瑞月お姉さん、いつも優しくしてくれるの」
そういって、菜々子は慕わしげに瑞月を見上げた。瑞月は彼女へと、柔和に微笑み返す。やはり彼女は子供に懐かれるくらい、面倒見がいい人間らしい。