残り香
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花の世話を終え、陽介は家を出た。今日は入学した大学の授業が始まる日だ。
芽生えの季節らしく、大学の花壇には、色とりどりの花が植えられている。
この花たちもいつか枯れて、種を残すのだろう。何も残さなくとも、土にかえり、それは新たな命を芽吹かせる。命は、途切れなく、続いていく。
それは素敵なことだと、陽介は遠い思い出のなかにいる人へと呼びかけ、歩く。
どうっと風が吹いた。すれ違った誰かの衣服が翻る。土の匂いと、白い冬を色づける、ふわりと柔らかな香りが立って。懐かしい匂いに陽介は振り返った。
花の香が、いつかの記憶を呼び起こす——。
「別れる男に花の名を 一つは教えておきなさい。 花は毎年 必ず咲きます」
————川端康成
芽生えの季節らしく、大学の花壇には、色とりどりの花が植えられている。
この花たちもいつか枯れて、種を残すのだろう。何も残さなくとも、土にかえり、それは新たな命を芽吹かせる。命は、途切れなく、続いていく。
それは素敵なことだと、陽介は遠い思い出のなかにいる人へと呼びかけ、歩く。
どうっと風が吹いた。すれ違った誰かの衣服が翻る。土の匂いと、白い冬を色づける、ふわりと柔らかな香りが立って。懐かしい匂いに陽介は振り返った。
花の香が、いつかの記憶を呼び起こす——。
「別れる男に花の名を 一つは教えておきなさい。 花は毎年 必ず咲きます」
————川端康成
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