サンストーンのあなた
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第2迷宮『ごーこんきっさ』の最深部の隠し通路。サブリーダーの結城理を先頭に、薄暗い通路をS.E.E.S.と特捜隊の面々は進軍する。といっても、ただ走るだけでシャドウには襲われない。理は現在のナビ、りせに情報を求める。
「りせ、敵の反応は?」
『壁の内側にはいないよ!外側も全部逃げちゃってる。そのまま道なりに進んで!』
りせの分析通り、襲いくるシャドウたちはことごとく氷の壁に阻まれているのだ。理たちに道を示すかのように、2つの巨大な氷壁が理たちを挟んでそびえている。壁の内側には、倒されたシャドウの残骸が散らばるばかりだ。
氷壁が破壊される様子もない。そもそも壁の外側のシャドウたちは、襲ってくる気概がなかった。光の屈折さえ曲げる厚さの氷壁の先では、理たちを視認したシャドウがキリキリ舞って逃げてゆく。全てのものに怯え、逃げるか行動不能となるバッドステータス——恐怖だ。シャドウたちは一様に恐怖の沼に沈められている。
「うえーい、逃げろ逃げろ! 順平様のお成りだー!」
「あんたの力じゃないでしょーが!! バステ解けたら厄介だから刺激するなっ」
「順平は置いといて、みんなスピード上げて走るよ」
「ひどいなお前!?」
怯えるシャドウたちを面白がって威嚇する順平を、ゆかりと理が咎めた。ゆかりの言う通り、氷壁をつくったのも、シャドウを恐怖に陥れたのも、順平ではない。理は、特捜隊に話しかける。
「突っ走っていったのに、妙なところで冷静なんだね。瀬名さんって。僕たちがシャドウに襲われないように誘導の通路まで作ってる」
「うん。瑞月って、すごく怒っても冷静な部分が残ってるみたいなんだ」
「すごく怒ってもって……そんだけ、あの2人がいなくなって苛立ってんじゃねえか。あいつは」
遠い目になった千枝が、理の問いに答える。荒垣が驚きを通り越して、呆れのため息をついた。氷の通路を整えたのは瑞月だった。彼女は理たちより先行している。
瑞月と理たちが進む、隠し通路の先にいるであろう、鳴上悠と花村陽介を救出するために。
陽介たちが姿を消した直後の瑞月を、理は思い出す。
陽介が落ちた落とし穴の跡地に片膝をついていた瑞月は、しばらくするとすっくと立ち上がった。彼女の表情は、混迷に濁るそれではなかった。アイギスが理に向ける感情をずっと強くした——主を決死で守る忠臣にも似た——確固たる覚悟が瞳に宿っていたのだ。思わず、理はあっけに取られるほどの強い感情であった。
そこからの瑞月はすさまじかった。2人の居場所を自力で特定した後、瞬く間に隠し通路に通じる扉を蹴り破った。
「結城くん、偵察は私が務める。山岸さん、すまないが私の回復支援と通信を頼む。他の皆は、私の後を追ってくれ。敵は退けておく」
最低限の指示を残し、瑞月は隠し通路へと飛び込んだ。瑞月一人を先遣隊とし、理たちは彼女が舗装した通路を辿っているのだ。理たちは道中、一度も敵の襲撃を受けていない。
「りせ、敵の反応は?」
『壁の内側にはいないよ!外側も全部逃げちゃってる。そのまま道なりに進んで!』
りせの分析通り、襲いくるシャドウたちはことごとく氷の壁に阻まれているのだ。理たちに道を示すかのように、2つの巨大な氷壁が理たちを挟んでそびえている。壁の内側には、倒されたシャドウの残骸が散らばるばかりだ。
氷壁が破壊される様子もない。そもそも壁の外側のシャドウたちは、襲ってくる気概がなかった。光の屈折さえ曲げる厚さの氷壁の先では、理たちを視認したシャドウがキリキリ舞って逃げてゆく。全てのものに怯え、逃げるか行動不能となるバッドステータス——恐怖だ。シャドウたちは一様に恐怖の沼に沈められている。
「うえーい、逃げろ逃げろ! 順平様のお成りだー!」
「あんたの力じゃないでしょーが!! バステ解けたら厄介だから刺激するなっ」
「順平は置いといて、みんなスピード上げて走るよ」
「ひどいなお前!?」
怯えるシャドウたちを面白がって威嚇する順平を、ゆかりと理が咎めた。ゆかりの言う通り、氷壁をつくったのも、シャドウを恐怖に陥れたのも、順平ではない。理は、特捜隊に話しかける。
「突っ走っていったのに、妙なところで冷静なんだね。瀬名さんって。僕たちがシャドウに襲われないように誘導の通路まで作ってる」
「うん。瑞月って、すごく怒っても冷静な部分が残ってるみたいなんだ」
「すごく怒ってもって……そんだけ、あの2人がいなくなって苛立ってんじゃねえか。あいつは」
遠い目になった千枝が、理の問いに答える。荒垣が驚きを通り越して、呆れのため息をついた。氷の通路を整えたのは瑞月だった。彼女は理たちより先行している。
瑞月と理たちが進む、隠し通路の先にいるであろう、鳴上悠と花村陽介を救出するために。
陽介たちが姿を消した直後の瑞月を、理は思い出す。
陽介が落ちた落とし穴の跡地に片膝をついていた瑞月は、しばらくするとすっくと立ち上がった。彼女の表情は、混迷に濁るそれではなかった。アイギスが理に向ける感情をずっと強くした——主を決死で守る忠臣にも似た——確固たる覚悟が瞳に宿っていたのだ。思わず、理はあっけに取られるほどの強い感情であった。
そこからの瑞月はすさまじかった。2人の居場所を自力で特定した後、瞬く間に隠し通路に通じる扉を蹴り破った。
「結城くん、偵察は私が務める。山岸さん、すまないが私の回復支援と通信を頼む。他の皆は、私の後を追ってくれ。敵は退けておく」
最低限の指示を残し、瑞月は隠し通路へと飛び込んだ。瑞月一人を先遣隊とし、理たちは彼女が舗装した通路を辿っているのだ。理たちは道中、一度も敵の襲撃を受けていない。