falling down
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無事に仲間たちと合流を果たし、一同は異貌の神父——『慈悲深い聖職者』というらしい——を撃破した。体力を消耗したメンバーたちは足早に出口へと向かっていく。
教会から全員がはけたと確認するや、瑞月も帰路につく。出口に進むあぜ道をたどると、ウェルカムボードの前に誰かがいた。陽介だ。
彼は神妙な顔をしてウェルカムボードに近づくと、打って変わって安心したように表情筋を緩めた。ぱたぱたと足を動かして、瑞月は陽介へと駆け寄る。
「花村、どうかしたのか」
「おー、瀬名。ちっと気づいたんだけどさ、どうゆうわけかこの写真、2人の顔がなくなってんだよ」
陽介の指摘通り、ウェルカムボードの新郎新婦は顔を切り取られて穴抜けになっている。陽介は腕を頭の後ろに組んで、貼り付けたような笑みをつくる。
「コレ、あのヘンな神父の精神攻撃みたいモンだったんかね?なんにせよ他のヤツらに見られなくて良かったじゃん。お前驚くほど、あのウェディングスーツにあってねーし、女子が男子抱えるとかありえねーもん」
「花村」
「やっぱ悠と逆の方がお似合いだったのに、なんで逆にしたのかねー……。シャドウの考えるコトはよく——」
「花村、おまえさまが私と鳴上をお似合いだろうと思おうが、私が恋人として、伴侶として傍にありたいと思うのは花村だけだ」
「…………はんっ!?」
陽介の、笑顔をつくろった仮面がはがれる。『はんりょ』という言葉は最後まで言い切れず、口を驚きに突き出したまま頬が発火した。作り笑いよりよほど自然な陽介の表情に、瑞月は詰めていた息を吐いた。陽介はほの暗い感情を抱えると、やたらと多弁になって騒がしくなる傾向がある。
瑞月はそうっと、陽介の両手を握った。私は陽介から逃げないと意図を込めて。
「おまえさまは、私と鳴上が映ったこの写真を見て、何か思うところがあったのではないか? もし、その感情が花村の中でわだかまっているのなら、どうか私に話してはくれないだろうか?」
「……すっげカッコ悪い本音だぞ。幻滅するかも」
「聞いてみないと分からないし、私はおまえさまから離れないよ。私が、離れたくないんだ。それに、花村が「カッコ悪い」と口にするときはたいていが真剣に悩んでいるときだ」
紛れもない、瑞月の本音であった。瑞月にとって、陽介は失いがたい優しさを持った人だ。しかし、稀有な優しさゆえに陽介自身が傷つく事態も少なくない。
己の優しさに、殺されてもおかしくはない。
けれど、そんなことは瑞月が許さない。優しい陽介を失いたくないと望んだから、瑞月はそばにいると決めた。陽介が遠くに行ってしまうのなら、瑞月は迷わず彼の下へ飛んでいく。
教会から全員がはけたと確認するや、瑞月も帰路につく。出口に進むあぜ道をたどると、ウェルカムボードの前に誰かがいた。陽介だ。
彼は神妙な顔をしてウェルカムボードに近づくと、打って変わって安心したように表情筋を緩めた。ぱたぱたと足を動かして、瑞月は陽介へと駆け寄る。
「花村、どうかしたのか」
「おー、瀬名。ちっと気づいたんだけどさ、どうゆうわけかこの写真、2人の顔がなくなってんだよ」
陽介の指摘通り、ウェルカムボードの新郎新婦は顔を切り取られて穴抜けになっている。陽介は腕を頭の後ろに組んで、貼り付けたような笑みをつくる。
「コレ、あのヘンな神父の精神攻撃みたいモンだったんかね?なんにせよ他のヤツらに見られなくて良かったじゃん。お前驚くほど、あのウェディングスーツにあってねーし、女子が男子抱えるとかありえねーもん」
「花村」
「やっぱ悠と逆の方がお似合いだったのに、なんで逆にしたのかねー……。シャドウの考えるコトはよく——」
「花村、おまえさまが私と鳴上をお似合いだろうと思おうが、私が恋人として、伴侶として傍にありたいと思うのは花村だけだ」
「…………はんっ!?」
陽介の、笑顔をつくろった仮面がはがれる。『はんりょ』という言葉は最後まで言い切れず、口を驚きに突き出したまま頬が発火した。作り笑いよりよほど自然な陽介の表情に、瑞月は詰めていた息を吐いた。陽介はほの暗い感情を抱えると、やたらと多弁になって騒がしくなる傾向がある。
瑞月はそうっと、陽介の両手を握った。私は陽介から逃げないと意図を込めて。
「おまえさまは、私と鳴上が映ったこの写真を見て、何か思うところがあったのではないか? もし、その感情が花村の中でわだかまっているのなら、どうか私に話してはくれないだろうか?」
「……すっげカッコ悪い本音だぞ。幻滅するかも」
「聞いてみないと分からないし、私はおまえさまから離れないよ。私が、離れたくないんだ。それに、花村が「カッコ悪い」と口にするときはたいていが真剣に悩んでいるときだ」
紛れもない、瑞月の本音であった。瑞月にとって、陽介は失いがたい優しさを持った人だ。しかし、稀有な優しさゆえに陽介自身が傷つく事態も少なくない。
己の優しさに、殺されてもおかしくはない。
けれど、そんなことは瑞月が許さない。優しい陽介を失いたくないと望んだから、瑞月はそばにいると決めた。陽介が遠くに行ってしまうのなら、瑞月は迷わず彼の下へ飛んでいく。