falling down
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まっすぐに伸びたあぜ道には意外と幅があり、3人が横並びになっていたとしても楽に潜り抜けられた。もし敵が出てきた場合に備えて、ペルソナたちは後方で控えてもらっている。
歩みを進めると、またしても呑気な機械音声が天から降ってきた。
『すると突然、ご列席の皆様がたにお知らせがあるぞ』
『前方に見えてきたのは、幸せに包まれた、新郎新婦の愛のメモリアルフォトグラフだ』
『君はご覧になってもいいし、ならなくてもいい』
機械音声のしめす通り、目前にはフラワーアレンジメントで彩られた額縁にはまった写真がある。瑞月は目を凝らすが、何が映っているかはまだ分からない。思わず、疑問が口を突いて出る。
「新郎新婦……愛のメモリアルフォトグラフ……。なんだそれは……第一迷宮にあったように、この迷宮の核となる何かか?」
「おっ、んじゃあソレ持ってけば、青い部屋の扉を塞いでる錠前も外れるんじゃね?」
「とりあえず、調べてみようか。瀬名の言う通りだとしたら、持って帰れるかな」
悠の提案に乗り、3人は歩みを進めていく。しかし、機械音声いわく『愛のメモリアルフォトグラフ』に近づくに連れて、3人の間の空気は妙なものとなっていく。話しかけたいのに、話してはいけない、タブーを破る直前の空気である。
そして、『愛のメモリアルフォトグラフ』をくっきりと認識できる距離になった地点で、疑わしい疑惑が覆せない確信となった、冷たい空気が3人を襲う。男2人は硬直し、瑞月はうんざりと閉口する。
『愛のメモリアルフォトグラフ』——それはたしかに仲睦まじそうなポーズをとった新郎新婦の写真であった。実際の結婚式では会場前に置かれ、『ウェルカムボード』とも呼ばれるものだ。
軍服調のウェディングスーツに身を包んだ花婿が、華奢なホワイトのマーメイドドレスをまとった花嫁を横抱きにしている写真である。仲睦まじい様子で彼らは互いの手を組んでハートマークを作っていた。構図だけならば、幸せに満ち溢れた写真といえるだろう。構図だけならば。
しかし3点の異常が、神聖なはずのウェルカムボードをギャグの沼へと落としていた。1つ目は、新郎と新婦が感情など排した真顔であること。2つ目は、新郎と神父に当てはまっていたのが、悠と瑞月、知り合いの友人同士で会ったこと。そして——
「なんで新郎が瀬名で、新婦が相棒なんだよ!! フツー、逆だろぉっ!?」
3つ目の、最大の異常を陽介は声高に叫ぶ。額縁の中には、純白のマーメイドドレスの悠を、軽々と抱き上げるウェディングスーツの瑞月の写真が飾られていたのである。
半目になった瑞月は、平坦な口調で呟く。
「雑コラよな」
リーダーである悠は、呆然と言葉をこぼした。
「俺が、花嫁なのか……?」
口に出す感想はそれぞれだが、3人の心は一つであった。
これはひどい、と。
歩みを進めると、またしても呑気な機械音声が天から降ってきた。
『すると突然、ご列席の皆様がたにお知らせがあるぞ』
『前方に見えてきたのは、幸せに包まれた、新郎新婦の愛のメモリアルフォトグラフだ』
『君はご覧になってもいいし、ならなくてもいい』
機械音声のしめす通り、目前にはフラワーアレンジメントで彩られた額縁にはまった写真がある。瑞月は目を凝らすが、何が映っているかはまだ分からない。思わず、疑問が口を突いて出る。
「新郎新婦……愛のメモリアルフォトグラフ……。なんだそれは……第一迷宮にあったように、この迷宮の核となる何かか?」
「おっ、んじゃあソレ持ってけば、青い部屋の扉を塞いでる錠前も外れるんじゃね?」
「とりあえず、調べてみようか。瀬名の言う通りだとしたら、持って帰れるかな」
悠の提案に乗り、3人は歩みを進めていく。しかし、機械音声いわく『愛のメモリアルフォトグラフ』に近づくに連れて、3人の間の空気は妙なものとなっていく。話しかけたいのに、話してはいけない、タブーを破る直前の空気である。
そして、『愛のメモリアルフォトグラフ』をくっきりと認識できる距離になった地点で、疑わしい疑惑が覆せない確信となった、冷たい空気が3人を襲う。男2人は硬直し、瑞月はうんざりと閉口する。
『愛のメモリアルフォトグラフ』——それはたしかに仲睦まじそうなポーズをとった新郎新婦の写真であった。実際の結婚式では会場前に置かれ、『ウェルカムボード』とも呼ばれるものだ。
軍服調のウェディングスーツに身を包んだ花婿が、華奢なホワイトのマーメイドドレスをまとった花嫁を横抱きにしている写真である。仲睦まじい様子で彼らは互いの手を組んでハートマークを作っていた。構図だけならば、幸せに満ち溢れた写真といえるだろう。構図だけならば。
しかし3点の異常が、神聖なはずのウェルカムボードをギャグの沼へと落としていた。1つ目は、新郎と新婦が感情など排した真顔であること。2つ目は、新郎と神父に当てはまっていたのが、悠と瑞月、知り合いの友人同士で会ったこと。そして——
「なんで新郎が瀬名で、新婦が相棒なんだよ!! フツー、逆だろぉっ!?」
3つ目の、最大の異常を陽介は声高に叫ぶ。額縁の中には、純白のマーメイドドレスの悠を、軽々と抱き上げるウェディングスーツの瑞月の写真が飾られていたのである。
半目になった瑞月は、平坦な口調で呟く。
「雑コラよな」
リーダーである悠は、呆然と言葉をこぼした。
「俺が、花嫁なのか……?」
口に出す感想はそれぞれだが、3人の心は一つであった。
これはひどい、と。