falling down
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空中を滑り落ちるさなか、突如として瑞月は我に返った。このままでは陽介が地面に激突してしまう。陽介を守らねばという、もはや使命感に近い感情が瑞月の喉を突きやぶった。斧槍を手放し、彼女は青いカードをたたき割る。
「ジライヤァッ!」
「ヨナガヒメ!」
陽介と瑞月の叫びが重なった。突発的な上昇気流が、2人——悠を入れて3人の落下速度を軽減する。ジライヤの疾風だ。弱くなった勢いそのままに、瑞月たちは雪山に墜落した。雪山は瑞月のペルソナが作り出したものだ。ペルソナが羽織っていた高級な着物——打掛をかぶせているので、クッションの役割をもって瑞月たちを受け止めてくれる。
「くはっ」
「うわっ」
「くうっ」
雪山の上で、3人分の呻きが上がる。瑞月は雪山に着陸した瞬間、反動を利用して陽介から離れた。瑞月の身体が彼の上に乗り続けるのは酷だ。瑞月は彼に苦しい思いをさせたくない。受け身を取って仰向けになった視界に、見慣れた銀髪が入り込んできた。われらが特捜隊リーダー——鳴上悠だ。彼は一足早く起き上がったらしい。
「陽介ッ、瀬名、無事か?」
「わ、私は無事だ。花村は?」
「せ、背中が冷てぇ」
「あぁ、雪山のせいだな。……責任を取って、私が花村に背後から抱き着いて、温めた方がいいだろうか?」
「ぐっ……いや、そういうの求めて言ったわけじゃねーから! 抱き着かなくていいってば」
「そうか……」
「なんで残念そうなんだよ……」
瀬名が突飛な発想を披露する。それにしても陽介は鋭い。実は幾分か下心の入った提案であったと悟られたくはないので、瑞月は目線を逸らしてごまかす。しかし、的確に突っ込みながらも、若干陽介の頬は赤かった。まんざらでもない様子である。かすかに頬を染める陽介かわいいと、瑞月は脳内フォルダに焼き付ける。
「……陽介も、瀬名も大丈夫そうだな。落とされたのは俺たち3人か」
「つーかココどこだ? 俺たちがさっきいた場所とは、ずいぶんフンイキ違うけど」
「たしかに、とてものどかな花畑よな」
話題の脱線を見かねてか、悠が会話に割りいった。雪山の上で座り込みながら、陽介はあたりを見回す。つられて瑞月も周囲を確認した。
3人が落とされた空間は、質素で品の良い庭園のような場所だ。カラフルな花々が咲き乱れる草原は、あぜ道によって縦断されている。土がむき出しの小道はハートを模したフラワーアーチで覆われていて、誘導の意図が露骨に滲んでいる。追い込まれているのでは?と推測する瑞月の思考は、呑気な機械音声に阻まれた。
『どうやらたどり着いてしまったようだ』
『ここは、運命の相手と巡り合った恋人たちが愛を語る道のようだ』
『君は足を踏み出してもいいし、踏み出さなくてもいい』
『さぁ、足を踏み出したまえ!』
「いや、踏み出すしかねーじゃねーか」
「恋人……?まさか、陽介と瀬名の2人が俺の恋人なのか!?」
「ちげーから、多分! 俺は瀬名かばって一緒に落ちてきただけだから! そもそもいきなり恋人とかいろいろ過程スッ飛ばしてるのがおかしいだろーがっ!」
「うーむ、やはり花村は恋人になるなら手順を大切にしたいのか。参考にしよう」
「瀬名はドサクサに紛れてナニ言ってんの?」
真顔で突っ込む陽介はさておき、機械音声の示すとおりに進むしかないらしい。瑞月は立ち上がろうとして、右手が固く握りしめられていると気が付いた。首をかしげて、右手を確認した彼女は絶句する。
瑞月の右手は、陽介の左手に握られていた。しかも、指と指を絡める方式——いわゆる恋人つなぎであった。雪によって冷えた足先に、急速に熱が巡る。
(ははは、花村の御手と私の手が、つながっている!? なぜ? どうして? しかもなぜ恋人つなぎっ? why!? どどどどうしたらああでも陽介の手あったかい節くれだった指先の一つ一つが男の人って感じでかっこいいクナイで厚くなった手の皮the・戦う男って感じで素敵というかさっき私は花村に抱きしめられてぁぁあああああ……!!)
「つーか、右腕が異様にあち……ってうわああ!?」
「ひょえっ」
異変に気が付いた陽介が、灼熱の瑞月に気が付いた。瑞月の脳内は大混乱である。陽介に触れられる嬉しさやら恥ずかしさやら恐れ多さやらが湧き上がり、身体の芯から沸騰する。
瑞月から陽介にアプローチを掛ける分には照れない。しかし、不意打ちのように陽介から触れられると、瑞月は盛大に照れてしまうのだ。照れに照れた瑞月は雪山をずぶずぶと溶かしていく。そうして、ろれつの回らなくなった舌を懸命に動かした。
「は、はにゃむら、すまにゃい……はにゃむらとわたひの手が、てがががガガガ」
「陽介、瀬名が壊れた!」
「深呼吸しろ落ち着け瀬名ぁーー!! つか、俺、悠と瀬名になんでか両手塞がれて助けらんねぇ埋まるな瀬名ぁぁあああああああああああっ!!!」
オーバーヒートを起こして雪山へと沈みゆく瑞月を、陽介が青い顔で引っ張り上げようと奮闘する。
「ジライヤァッ!」
「ヨナガヒメ!」
陽介と瑞月の叫びが重なった。突発的な上昇気流が、2人——悠を入れて3人の落下速度を軽減する。ジライヤの疾風だ。弱くなった勢いそのままに、瑞月たちは雪山に墜落した。雪山は瑞月のペルソナが作り出したものだ。ペルソナが羽織っていた高級な着物——打掛をかぶせているので、クッションの役割をもって瑞月たちを受け止めてくれる。
「くはっ」
「うわっ」
「くうっ」
雪山の上で、3人分の呻きが上がる。瑞月は雪山に着陸した瞬間、反動を利用して陽介から離れた。瑞月の身体が彼の上に乗り続けるのは酷だ。瑞月は彼に苦しい思いをさせたくない。受け身を取って仰向けになった視界に、見慣れた銀髪が入り込んできた。われらが特捜隊リーダー——鳴上悠だ。彼は一足早く起き上がったらしい。
「陽介ッ、瀬名、無事か?」
「わ、私は無事だ。花村は?」
「せ、背中が冷てぇ」
「あぁ、雪山のせいだな。……責任を取って、私が花村に背後から抱き着いて、温めた方がいいだろうか?」
「ぐっ……いや、そういうの求めて言ったわけじゃねーから! 抱き着かなくていいってば」
「そうか……」
「なんで残念そうなんだよ……」
瀬名が突飛な発想を披露する。それにしても陽介は鋭い。実は幾分か下心の入った提案であったと悟られたくはないので、瑞月は目線を逸らしてごまかす。しかし、的確に突っ込みながらも、若干陽介の頬は赤かった。まんざらでもない様子である。かすかに頬を染める陽介かわいいと、瑞月は脳内フォルダに焼き付ける。
「……陽介も、瀬名も大丈夫そうだな。落とされたのは俺たち3人か」
「つーかココどこだ? 俺たちがさっきいた場所とは、ずいぶんフンイキ違うけど」
「たしかに、とてものどかな花畑よな」
話題の脱線を見かねてか、悠が会話に割りいった。雪山の上で座り込みながら、陽介はあたりを見回す。つられて瑞月も周囲を確認した。
3人が落とされた空間は、質素で品の良い庭園のような場所だ。カラフルな花々が咲き乱れる草原は、あぜ道によって縦断されている。土がむき出しの小道はハートを模したフラワーアーチで覆われていて、誘導の意図が露骨に滲んでいる。追い込まれているのでは?と推測する瑞月の思考は、呑気な機械音声に阻まれた。
『どうやらたどり着いてしまったようだ』
『ここは、運命の相手と巡り合った恋人たちが愛を語る道のようだ』
『君は足を踏み出してもいいし、踏み出さなくてもいい』
『さぁ、足を踏み出したまえ!』
「いや、踏み出すしかねーじゃねーか」
「恋人……?まさか、陽介と瀬名の2人が俺の恋人なのか!?」
「ちげーから、多分! 俺は瀬名かばって一緒に落ちてきただけだから! そもそもいきなり恋人とかいろいろ過程スッ飛ばしてるのがおかしいだろーがっ!」
「うーむ、やはり花村は恋人になるなら手順を大切にしたいのか。参考にしよう」
「瀬名はドサクサに紛れてナニ言ってんの?」
真顔で突っ込む陽介はさておき、機械音声の示すとおりに進むしかないらしい。瑞月は立ち上がろうとして、右手が固く握りしめられていると気が付いた。首をかしげて、右手を確認した彼女は絶句する。
瑞月の右手は、陽介の左手に握られていた。しかも、指と指を絡める方式——いわゆる恋人つなぎであった。雪によって冷えた足先に、急速に熱が巡る。
(ははは、花村の御手と私の手が、つながっている!? なぜ? どうして? しかもなぜ恋人つなぎっ? why!? どどどどうしたらああでも陽介の手あったかい節くれだった指先の一つ一つが男の人って感じでかっこいいクナイで厚くなった手の皮the・戦う男って感じで素敵というかさっき私は花村に抱きしめられてぁぁあああああ……!!)
「つーか、右腕が異様にあち……ってうわああ!?」
「ひょえっ」
異変に気が付いた陽介が、灼熱の瑞月に気が付いた。瑞月の脳内は大混乱である。陽介に触れられる嬉しさやら恥ずかしさやら恐れ多さやらが湧き上がり、身体の芯から沸騰する。
瑞月から陽介にアプローチを掛ける分には照れない。しかし、不意打ちのように陽介から触れられると、瑞月は盛大に照れてしまうのだ。照れに照れた瑞月は雪山をずぶずぶと溶かしていく。そうして、ろれつの回らなくなった舌を懸命に動かした。
「は、はにゃむら、すまにゃい……はにゃむらとわたひの手が、てがががガガガ」
「陽介、瀬名が壊れた!」
「深呼吸しろ落ち着け瀬名ぁーー!! つか、俺、悠と瀬名になんでか両手塞がれて助けらんねぇ埋まるな瀬名ぁぁあああああああああああっ!!!」
オーバーヒートを起こして雪山へと沈みゆく瑞月を、陽介が青い顔で引っ張り上げようと奮闘する。