falling down
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軽快なドラムロールと共に、全身を余さず照らす強力なスポットライトを、瑞月は一身に受けた。
『アナタの運命の相手は……ずばり、この人なのだ』
てぇん!とバラエティ番組の正解をしめす愉快な効果音が鳴る。唐突な出来事に、瑞月は今までの道中を想起した。記憶がビデオのように倍速再生される。
瑞月たち含むペルソナ使いが探索する第2迷宮『ごーこんきっさ』は、『運命の人を選ぶための質問』に答えなければ、先に進めない仕掛けが施されていた。したがって、回答者をリーダーである鳴上悠にさだめて『ごーこんきっさ 4次会』の最奥にまでやってきたのだ。
そして最後の質問に答え、悠の『運命の人』として——瑞月が選ばれた。
あっけにとられた瑞月は呟く。
「『運命の人』が鳴上……? だが、私が好いているのは——」
瑞月の頭の中に、濁流のような思考が押し寄せた。
(ん? 鳴上が『運命の人』?? 確かに鳴上は私に影響をもたらしたかけがえのない友人だから『運命の人』といえばそうだ。しかし、この質問で示された『運命の人』=『恋人』であって、私が心を寄せている人は花村しかいない。うん。しかし、私の『運命の人』は花村ではなかった。この矛盾は————————そうか!)
「——つまりっ、花村が 私の運命さえ捻じ曲げてしまうほど 素晴らしい相手という証よな!」
ただ陽介の素晴らしさを示す結果ではないか。と瑞月は胸を張った。結論に至る時間は1秒にも満たない。瑞月の即答に、何やら張りつめていた一同の空気(おもに特捜隊)が一気にこんがらがる。
「俺は2人のダシになったのだった」「ブレないなーこの娘 は」「瑞月らしいね」「俺ら、何見せられてんスかね」『瀬名先輩それなら、ゆずってー!』「ヒュー! ミキチャン肉食ねー」「コペルニクス的発想の転換……」
「うへー、すげーポジティブ」「どうしたらその発想にたどり着くのよ……」「どうでもいい……」
「は……?」
特捜隊一同、およびS.E.E.S.のツッコミ2名とリーダーが思い思いに声を上げた。渦中の人である陽介はというと、氾濫する情報を飲みこみきれず、マヌケに口を開けている。
瑞月はといえば、なぜ彼らが混乱しているか見当がつかず首をかしげた。瑞月が陽介を好いている事実など、太陽が東からのぼって西に沈むくらいに当然だ。自然の摂理だ。ゆえに覆る事態などない。
唐突に、瑞月は浮遊感を感じる。真下に目をやると、何やら人一人を吸い込めそうなうつろな空洞が出現していた。視界の端に、同じく暗闇の大口に吸い込まれる悠が入りこんだが気にかける余裕もない。
落ちる。瑞月は本能的な恐怖にわななく。しかし恐怖は次の瞬間、驚きで塗りつぶされた。
斧槍をかまえた反対の腕が、力強く掴まれたのだ。瑞月に手を伸ばしたのは陽介だった。先程のマヌケな様子と一転し、切羽詰まった表情をさらして、彼は瑞月の身体を引き寄せる。
「え」
陽介が目を丸くした。なんと、瑞月だけを飲み込むはずだった大穴が広がっている。陽介までもが宙に浮いた。どうあがいても落ちるしかない。陽介は歯を食いしばり、とっさに瑞月の身体を抱きすくめた。
瑞月の頭を、陽介は胸の中に抱え込む。瑞月を守るために。できるならば、瑞月は彼を突き飛ばすべきなのだろう。陽介を巻き込まないために。しかし、瑞月は意中の人に触れられて正常な判断がつかないほど頭が真っ白になっていたのだ。
「おわあぁああぁあああぁああああぁぁっ!!」
「なんっとーーーーーーーーーーーーーー!?」
「ちょ、瑞月――――――!? 花村―――――――!? 鳴上くーーーーーーーーん!?」
驚きの叫びをあげながら、2人は行き先の分からない暗闇へと落下した。千枝の絶叫がみるみるうちに遠ざかっていく。
『アナタの運命の相手は……ずばり、この人なのだ』
てぇん!とバラエティ番組の正解をしめす愉快な効果音が鳴る。唐突な出来事に、瑞月は今までの道中を想起した。記憶がビデオのように倍速再生される。
瑞月たち含むペルソナ使いが探索する第2迷宮『ごーこんきっさ』は、『運命の人を選ぶための質問』に答えなければ、先に進めない仕掛けが施されていた。したがって、回答者をリーダーである鳴上悠にさだめて『ごーこんきっさ 4次会』の最奥にまでやってきたのだ。
そして最後の質問に答え、悠の『運命の人』として——瑞月が選ばれた。
あっけにとられた瑞月は呟く。
「『運命の人』が鳴上……? だが、私が好いているのは——」
瑞月の頭の中に、濁流のような思考が押し寄せた。
(ん? 鳴上が『運命の人』?? 確かに鳴上は私に影響をもたらしたかけがえのない友人だから『運命の人』といえばそうだ。しかし、この質問で示された『運命の人』=『恋人』であって、私が心を寄せている人は花村しかいない。うん。しかし、私の『運命の人』は花村ではなかった。この矛盾は————————そうか!)
「——つまりっ、花村が 私の運命さえ捻じ曲げてしまうほど 素晴らしい相手という証よな!」
ただ陽介の素晴らしさを示す結果ではないか。と瑞月は胸を張った。結論に至る時間は1秒にも満たない。瑞月の即答に、何やら張りつめていた一同の空気(おもに特捜隊)が一気にこんがらがる。
「俺は2人のダシになったのだった」「ブレないなーこの
「うへー、すげーポジティブ」「どうしたらその発想にたどり着くのよ……」「どうでもいい……」
「は……?」
特捜隊一同、およびS.E.E.S.のツッコミ2名とリーダーが思い思いに声を上げた。渦中の人である陽介はというと、氾濫する情報を飲みこみきれず、マヌケに口を開けている。
瑞月はといえば、なぜ彼らが混乱しているか見当がつかず首をかしげた。瑞月が陽介を好いている事実など、太陽が東からのぼって西に沈むくらいに当然だ。自然の摂理だ。ゆえに覆る事態などない。
唐突に、瑞月は浮遊感を感じる。真下に目をやると、何やら人一人を吸い込めそうなうつろな空洞が出現していた。視界の端に、同じく暗闇の大口に吸い込まれる悠が入りこんだが気にかける余裕もない。
落ちる。瑞月は本能的な恐怖にわななく。しかし恐怖は次の瞬間、驚きで塗りつぶされた。
斧槍をかまえた反対の腕が、力強く掴まれたのだ。瑞月に手を伸ばしたのは陽介だった。先程のマヌケな様子と一転し、切羽詰まった表情をさらして、彼は瑞月の身体を引き寄せる。
「え」
陽介が目を丸くした。なんと、瑞月だけを飲み込むはずだった大穴が広がっている。陽介までもが宙に浮いた。どうあがいても落ちるしかない。陽介は歯を食いしばり、とっさに瑞月の身体を抱きすくめた。
瑞月の頭を、陽介は胸の中に抱え込む。瑞月を守るために。できるならば、瑞月は彼を突き飛ばすべきなのだろう。陽介を巻き込まないために。しかし、瑞月は意中の人に触れられて正常な判断がつかないほど頭が真っ白になっていたのだ。
「おわあぁああぁあああぁああああぁぁっ!!」
「なんっとーーーーーーーーーーーーーー!?」
「ちょ、瑞月――――――!? 花村―――――――!? 鳴上くーーーーーーーーん!?」
驚きの叫びをあげながら、2人は行き先の分からない暗闇へと落下した。千枝の絶叫がみるみるうちに遠ざかっていく。